登山中に靴紐がほどけたことはありませんか。
ほどけた靴紐を踏んで転倒するリスクがあるだけでなく、下り坂でしっかり固定できていない靴は「つま先が痛い」問題にも直結します。
私も登山を始めたころ、下山中に靴紐がほどけてバランスを崩し、肝を冷やした経験があります。
この記事では、登山靴の紐の結び方・締め方を、下りで痛くならない実践的な方法まで解説します。
この記事でわかること
- 普通の蝶結びでは山で使えない理由
- ダブルノット(二重結び)の手順
- 下りでかかとが浮かない「ヒールロック」の結び方
- 登りと下りで締め方を変えるコツ
- 紐が長すぎるとき・ほどけない靴紐の活用
普通の蝶結びでは山で使えない理由
平地では普通の蝶結びで十分ですが、山道ではほどけやすくなります。
急坂・岩場では足が不規則な動きをするため、靴紐への引っかかりや摩擦で結び目が緩みやすいです。
また、汗や雨で濡れた紐はさらにほどけやすくなります。
ほどけた靴紐を踏んで転倒すると、登山では致命的なリスクになります。
山では必ずダブルノット(二重結び)を基本とし、下りではヒールロックを追加することをおすすめします。

基本の結び方:ダブルノット(二重結び)の手順
ダブルノットは通常の蝶結びをベースに、もう一回ループをくぐらせる結び方です。
ほどけにくく、脱ぐときも手間がかかりません。
登山靴を使うときは、常にダブルノットを基本にしてください。
ステップ1:通常の蝶結びをする
まず普通の蝶結びをします。
この時点ではまだほどけやすい状態です。
結び目が中央にくるよう意識すると、次のステップがやりやすくなります。
ステップ2:ループをもう一回くぐらせる
蝶結びのループ(輪っか)を、通常より一回余分に下の穴にくぐらせます。
引っ張ると2つのループが重なった形になります。
ループを引っ張って、しっかり固定されたことを確認してください。
ステップ3:締まり具合のチェック
ループを引っ張ってしっかり締まっているか確認してください。
ゆるいと歩いているうちにほどける可能性があります。
きつすぎると甲が圧迫されて痛くなるため、「固定されているが甲が痛くない」適度な締め具合を探してください。
ダブルノットに慣れれば、普通の蝶結びと同じくらいのスピードで結べるようになります。
ヒールロックの結び方:下りでかかとが浮かない
ヒールロックは、登山靴の最上部のフックを使って足首とかかとをしっかり固定する技術です。
下り坂での「かかとが浮く」「つま先が当たる」問題を大きく改善する最も効果的な方法の一つです。
ヒールロックが必要な理由
下り坂では体重が前方にかかり、足が靴の中で前にずれます。
かかとが浮いた状態だと、つま先が靴の先端に当たり続けて痛みが出ます。
長時間続くと爪の内出血・爪剥がれにつながります。
ヒールロックでかかとを固定することで、このずれを防ぎます。
50代では特に下りでの踏み込みが弱くなることがあるため、ヒールロックが重要性を持ちます。
手順:SフックにW巻きする方法
登山靴の最上部に付いているSフック(アンクルホールド用のフック)を使います。
- 靴紐をSフックの外側から内側に向かってくぐらせます
- 反対側のSフックも同様に、外側から内側にくぐらせます
- 両端の紐を内側から外側に引っ張って交差させます
- そのまま交差させた状態で引き上げて、かかと周辺がきゅっと締まることを確認します
- この状態を保ちながらダブルノットで仕上げます
ヒールロックをかけると、かかとが後端に引き寄せられて固定された感覚があります。
初めてやるときはわかりにくいかもしれませんが、2〜3回練習すると感覚がつかめます。
締め付けすぎに注意するポイント
ヒールロックを締めすぎると足首の血行が悪くなります。
「固定されている感覚があるが痛くない」レベルに留めてください。
長い下り坂では休憩のたびに緩める方もいます。
血行が悪いと感じたら、すぐに一度緩めて再び適度に締め直してください。
足首が冷たくなる・しびれを感じるようなら締めすぎのサインです。
登りと下りで紐の締め方を変えるコツ
プロの登山者は登りと下りで靴紐の締め方を変えています。
同じ締め方のまま長時間歩くと、どこかに無理が生じます。
登り:足首は少し緩め・前部を固定
登りでは足首をある程度動かせるほうが歩きやすいです。
足首周辺の紐は少し緩め、前足部(つま先側)の紐はしっかり固定します。
これにより、登りの踏み込みがスムーズになります。
特に急登では、足首が適度に動けるほうが疲労が少なくなります。
下り:かかとを固定・ヒールロックを追加
下りに入る前に一度立ち止まり、靴紐を締め直します。
ヒールロックを使ってかかとをしっかり固定し、つま先が靴の前に当たらないようにします。
休憩のたびに確認し、緩んでいたら締め直す習慣をつけると快適に下れます。
靴紐を正しく通す順番:穴の数と素材別のポイント
登山靴には複数のレース穴とSフックがあります。
靴紐は下のアイレット(穴)から順に交差させながら通していき、最上部のSフックまで到達させます。
穴の通し方にはいくつかのバリエーションがありますが、基本は以下のとおりです。
- つま先に最も近い穴から始め、順番に上へ向かって交差させながら通す
- 中間部でアイレットからSフックに切り替わる部分が多いが、Sフックは引っかけるだけでよい
- 最上部まで通し終えたらヒールロックをかけてダブルノットで仕上げる
靴紐の素材がロウ引きのものは滑りにくくほどけにくいですが、通しにくいことがあります。
濡れると滑りやすくなる素材の紐は、乾いた状態で各フックへの固定具合を確認してください。
紐が長すぎるとき:カットせず対処する方法
登山靴によっては靴紐が長すぎて余りが多く出ることがあります。
余った紐をカットしたくなりますが、カットすると先端が解れやすくなります。
余った紐は結んだ後にループの中に折り込んで隠すか、ループを使ってまとめてください。
市販の「靴紐ストッパー」や「シューレースクリップ」を使うと余りをきれいにまとめられます。
どうしてもカットする場合は、先端をライターで軽くあぶって固めてください。
登山靴の靴紐を交換するタイミング
靴紐は消耗品です。
以下の場合は交換してください。
- 靴紐の芯が切れかけている・ほつれがひどい
- 端のアグレット(金属・プラスチックの留め具)が取れた
- 何度結んでもすぐほどけるようになってきた
- 色褪せや汚れが気になるレベルになった
交換用の靴紐は登山専門店やネット通販で購入できます。
靴のサイズに合った長さを選ぶことが重要です。
穴の数×2+約50cmが目安になります。
甲が高い方向け:スキップレーシングの活用
甲高の方は靴紐を途中でひとつ飛ばして通す「スキップレーシング」が効果的です。
甲が当たって痛い部分の穴を1つスキップすることで、その箇所の圧迫を減らせます。
スキップした部分だけ圧力が抜けるため、他の部分のフィット感は保ちながら痛みの箇所だけ調整できます。
甲高・幅広足のサイズ選びの詳細は登山靴のサイズ選びガイドも参照してください。
結ばない靴紐・ロック式シューレースの活用
最近は「結ばなくていい靴紐」も選択肢になっています。
ロック式シューレース(「キャタピーラックス」など)は、バックル一つで締め具合を調整できます。
糖尿病など手先の細かい作業が難しい方、関節リウマチのある方には特に使いやすいアイテムです。
「boa(ボア)ダイヤル」を採用した一部の登山靴は、ダイヤルを回すだけで均一に締まるシステムを採用しています。
よくある質問
ヒールロックはどんな靴紐でも使えますか?
Sフックが付いている登山靴であれば基本的に使えます。
Sフックがないモデルは、最上部の穴にループを作って簡易的なヒールロックが代替になります。
下りで毎回締め直すのが面倒です
面倒に感じる方は、始めからヒールロックをした状態で登山を開始するのも一つの方法です。
下りが長い場合に最初から準備しておくと、途中で締め直す手間が省けます。
靴紐が切れたときの応急処置は?
靴紐が切れた場合は、残りの紐を均等に通し直して対応します。
予備の靴紐を1セット持参することをおすすめします。100〜200gの軽量品で、いざというときに役立ちます。
まとめ
登山靴の紐の結び方をまとめます。
- 基本はダブルノット:普通の蝶結びにループをもう一回くぐらせる。ほどけにくく脱ぐのも楽
- 下りはヒールロックを追加:最上部のSフックを使ってかかとを固定。つま先が当たる問題が大きく改善される
- 登りと下りで締め直す習慣を:登りは足首を少し緩め、下りに入る前に締め直す。休憩のたびに確認する
登山靴選びの全体については50代の登山靴の選び方完全ガイドもあわせてどうぞ。


コメント