富士山本宮浅間大社は静岡県富士宮市にある神社です。全国におよそ1,300社ある浅間神社の総本宮にあたり、富士山の八合目より上を境内地として持っています。登山者にとっては、自分が歩く道の大半が一つの神社の土地の上にあるという話になります。この記事では富士山本宮浅間大社の成り立ちと、参拝に必要な時間や条件を整理します。
この記事でわかること
- 富士山本宮浅間大社が全国約1,300社の浅間神社の総本宮であること
- 富士山の八合目より上、約385万平方メートルが境内地であること
- 本殿が慶長11年(1606年)造営の浅間造で、棟高が45尺(13.6m)であること
- 境内の湧玉池が国の特別天然記念物であること
- 開門時間が季節で変わり、4月から9月は午前5時から午後8時であること
富士山本宮浅間大社はどんな神社ですか?
富士山を神として祀る神社の総本宮です。御祭神は木花之佐久夜毘売命で、浅間大神とも呼ばれます。瓊々杵尊と大山祇神も併せて祀られています。

起こりは富士山の噴火を鎮めるための祭祀でした。噴火する山をなだめるという目的で始まった信仰が、後に富士山へ登る行為そのものと結びついていきます。
現在地に移ったのは大同元年(806年)とされます。それ以前は山宮浅間神社の地に祀られていたと富士宮市の解説に記されています。1,200年を超えて同じ場所に建っている神社です。
なぜ八合目より上が境内地なのですか?
江戸時代に認められた権利が、最高裁判所の判断を経て現在まで引き継がれているためです。富士山の八合目以上、約385万平方メートル(約120万坪)が富士山本宮浅間大社の境内地になっています。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 安永8年(1779年) | 八合目以上の支配権が認められる |
| 昭和49年(1974年) | 最高裁判所の判決が出る |
| 平成16年(2004年) | 国から浅間大社へ譲渡(返還) |
富士山を「登る山」としか見ていなかった頃の私は、八合目から上が国の土地ではないと知りませんでした。山頂へ向かう最後の数百メートルは、法的には一つの神社の敷地の中を歩いていることになります。

この事実は登山の手続きを左右するものではありません。ただ、山頂に神社があることや、頂上に奥宮が置かれていることの理由は、ここを知ると筋が通ります。ルートごとの違いは富士山の4ルート比較にまとめています。
本殿はどんな建物ですか?
浅間造と呼ばれる二層楼閣造りです。棟の高さは45尺、メートルに直すと13.6mになります。下層は桁行5間・梁間4間の寄棟造、上層は三間社流造で、どちらも檜皮葺です。
造営は慶長11年(1606年)で、徳川家康の寄進によるものです。国の重要文化財に指定されています。

二層という形は神社建築としては珍しい部類です。社殿の上にもう一段社殿が載っているように見えるため、正面から見上げると高さの印象が普通の本殿と変わります。富士山という高い山を祀る神社の形として造られたものです。
湧玉池とは何ですか?
境内に湧く池です。国の特別天然記念物に指定されています。富士山に降った雨や雪が地下水となって富士宮溶岩流の溶岩層の間を流れ、溶岩流の末端にあたるこの場所で地表に出てきます。

池は禊所のあたりを境に上池と下池に分かれています。かつては上池だけを湧玉池と呼び、下池から下流は御手洗川と呼び分けていました。
富士山に降った水がここまで届いているという構造そのものが、この池を特別天然記念物にしています。山の上で見た雪と、麓の池の水が地下でつながっているという話になります。
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浅間大社とは?50代が訪れる富士山信仰の総本宮奥宮はいつ参拝できますか?
富士山の開山期間だけです。奥宮は富士山の頂上に鎮座しており、登らなければ行けません。山が閉じている期間は参拝できないことになります。
つまり本宮と奥宮では、参拝のためにかかる労力がまるで違います。本宮は富士宮駅から徒歩10分ですが、奥宮は標高3,776mまで登った先にあります。開山期間そのものは年によって変わるため、富士山の山開きの記事で日程を確認してください。
山頂まで登らずに富士山の信仰に触れたいのであれば、本宮への参拝で完結します。登拝と神社の関係は富士山に限った話ではなく、白山比咩神社の記事でも同じ構図を扱いました。
何時から参拝できますか?
季節で変わります。夏場は午前5時に開き、冬場は午前6時です。年中無休で、参拝そのものに料金はかかりません。
| 時期 | 開門時間 |
|---|---|
| 4月〜9月 | 午前5時〜午後8時 |
| 3月・10月 | 午前5時30分〜午後7時30分 |
| 11月〜2月 | 午前6時〜午後7時 |
祈祷の受付は午前8時30分から午後3時50分まで、御朱印の受付は午前8時30分から午後4時30分までです。早朝に開門していても、授与所が動き出すのは8時30分からという点に注意してください。
富士山へ登る前の朝に寄るなら、開門の早い夏場であれば午前5時から境内に入れます。ただしその時間に御朱印は受けられません。
富士宮駅からどう行きますか?
JR身延線の富士宮駅から徒歩10分です。車なら3分と案内されています。所在地は富士宮市宮町1-1です。

富士宮口から富士山に登る場合、五合目へ向かうバスの起点が富士宮駅周辺になります。登山の当日に立ち寄るのではなく、前日の移動日に組み込むほうが時間に追われません。五合目そのものの過ごし方は富士山五合目の記事で扱っています。
昔はここが登山口だったのですか?
登拝の起点でした。富士宮市の解説では、登拝が盛んになるにつれて、村山の興法寺とともに大宮・村山口登拝道の起点となり、周辺に宿坊が成立したと考えられているとされています。
現在の富士山は五合目までバスや車で上がるのが普通です。標高の低い場所にある登山口は使われなくなりました。しかし江戸時代までの登拝は、この神社で身を清めてから歩き出すという形でした。参拝が登山の一部だったということです。
境内の湧玉池に禊所があるのも、そのためです。今の登山者にとっては池を眺める場所ですが、かつては水に入って身を清めるための設備でした。神社と登山道が地続きだった時代の名残が、境内にそのまま残っています。
世界文化遺産としてはどんな位置づけですか?
「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産の一つです。2013年6月22日に登録され、富士山本宮浅間大社は構成資産No.2にあたります。
この登録名は、富士山が自然遺産ではなく文化遺産として認められたことを示しています。評価されたのは山の形や生態系ではなく、人がその山をどう信じ、どう描いてきたかという蓄積です。浅間大社が構成資産の早い番号に入っているのは、その蓄積の中心にあるためです。
登る前に寄る意味はありますか?
行程の組み方によります。富士宮口から登るなら通り道に近く、寄り道の負担は小さく済みます。吉田口から登る場合は山梨県側になるため、わざわざ静岡県側へ回ることになります。
登山の安全を祈願するという目的で寄る人が多い場所です。それとは別に、これから登る山が神社の境内地であるという事実を先に知っておくと、山頂の建物や標識の意味が変わって見えます。
体力面の準備は参拝では代わりになりません。標高差と所要時間の目安は富士山登山の体力目安の記事で確認してください。
よくある質問|富士山本宮浅間大社
富士山本宮浅間大社の御祭神は?
木花之佐久夜毘売命です。浅間大神とも呼ばれ、瓊々杵尊と大山祇神も併せて祀られています。
八合目より上は誰の土地ですか?
富士山本宮浅間大社の境内地です。約385万平方メートル(約120万坪)が平成16年(2004年)に国から譲渡されました。
参拝に料金はかかりますか?
かかりません。年中無休で、開門時間は4月から9月が午前5時から午後8時です。
奥宮はどこにありますか?
富士山の頂上です。開山期間中しか参拝できません。
富士宮駅から歩けますか?
歩けます。JR身延線の富士宮駅から徒歩10分、車なら3分の距離です。
まとめ|富士山本宮浅間大社を訪ねる3ステップ
富士山本宮浅間大社は、富士山の八合目より上を境内地として持つ神社です。訪ねる前に次の3点を決めてください。
- 本宮と奥宮のどちらへ行くかを決める。本宮は富士宮駅から徒歩10分、奥宮は開山期間中に山頂まで登った先にある
- 時間帯を合わせる。開門は4月から9月が午前5時、11月から2月は午前6時。御朱印の受付は午前8時30分から
- 登山の日程に組み込む位置を決める。富士宮口から登るなら前日の移動日に寄るほうが余裕が出る
年代・面積・開門時間は富士宮市が公開している解説をもとに整理しました。祭事の日程などは変わることがあるため、日付が近づいたら神社側の案内を見てください。
画像出典
本記事の画像はUnsplashから引用しています。撮影者はSamuel Berner氏、Sora Sagano氏、Anne Laure P氏、WEI JIAHENG氏、logan schmitt氏です。富士山本宮浅間大社の境内を撮影したものではありません。


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