鳥海山大物忌神社は、山形県と秋田県にまたがる鳥海山を祀る神社です。本社は標高2,236mの山頂にあり、麓の吹浦と蕨岡の2か所に口ノ宮と呼ばれる里宮があります。一つの神社が3か所に分かれているため、登山者と参拝者で訪ねる場所が変わります。この記事では鳥海山大物忌神社の成り立ちと、3つの社殿の関係を整理します。
この記事でわかること
- 鳥海山大物忌神社が山頂の本社と麓の口ノ宮2か所から成ること
- 創祀が欽明天皇25年(564年)とされていること
- 出羽国一宮で、延喜式では名神大社とされていること
- 吹浦口ノ宮がJR吹浦駅から徒歩7分であること
- 御朱印の受付が9時から12時、13時から17時であること
鳥海山大物忌神社はどんな神社ですか?
鳥海山そのものを信仰の対象とする神社です。本社は山頂に鎮座し、麓には吹浦と蕨岡の2か所に口ノ宮と呼ばれる里宮があります。山形県の観光案内でも、この3か所の構成が説明されています。

昭和30年(1955年)に、それまで別々に扱われていた3つの社が総称されて、現在の社号になりました。つまり鳥海山大物忌神社という名前は、特定の一つの建物を指すのではなく、山頂と麓の3社をまとめた呼び方です。
一つの神社が山の上と下に分かれているという形は、登拝の山ではよく見られます。白山比咩神社や富士山本宮浅間大社も、山頂に奥宮を持つという点で同じ構図です。
いつからある神社ですか?
創祀は欽明天皇25年(564年)とされています。1,400年以上前にさかのぼる由緒です。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 564年(欽明天皇25年) | 創祀 |
| 862年(貞観4年)11月 | 官社に列格 |
| 1880年(明治13年)7月 | 山頂本社を国幣中社に改格 |
| 1955年(昭和30年) | 3社を総称して現社号に |
| 2008年(平成20年) | 山頂本殿から口ノ宮にいたる境内が国指定史跡に |
| 2017年(平成29年) | 山頂御本殿を造営 |
平安時代にまとめられた延喜式では、名神大社として記載されています。名神大社は特に霊験があるとされた神社に与えられた格で、古代の朝廷からも重く見られていたことがわかります。年表は遊佐鳥海観光協会の解説をもとに整理しました。

出羽国一宮とはどういう意味ですか?
出羽国でもっとも格式の高い神社という意味です。出羽国は現在の山形県と秋田県にあたる旧国名で、その地域を代表する神社として位置づけられてきました。
鳥海山は山形と秋田の県境にそびえる独立峰で、日本海の沿岸から一気に立ち上がります。その山を祀る神社が一国の一宮とされたのは、地域の暮らしと山が切り離せなかったためと考えられます。ここは推測を含む解釈で、社伝として明記されているのは一宮であるという事実までです。
山頂の本社はどうやって参拝しますか?
登るしかありません。本社は鳥海山の山頂に鎮座しており、標高2,236mまで自分の足で上がる必要があります。平成29年(2017年)に山頂の御本殿が造営されました。

山頂へ向かう登山道の一つが、秋田県側の象潟口です。5合目の鉾立から山頂まではおよそ4時間30分かかります。鉾立の前泊施設については鉾立山荘の記事、日帰りの時間配分は鳥海山の日帰り登山の記事で扱いました。
山頂本社を目指すのは登山そのものです。天候が崩れやすい独立峰で、稜線に出てからの風も強くなります。参拝を目的にするとしても、装備と計画は通常の登山と同じ水準で整えてください。
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麓の口ノ宮です。吹浦口ノ宮と蕨岡口ノ宮の2か所があり、どちらも登山をせずに訪ねられます。
山頂本社から口ノ宮にいたる境内は、平成20年(2008年)に国の史跡に指定されました。山の上と麓が一続きの境内として扱われているため、口ノ宮で参拝することも、鳥海山大物忌神社への正式な参拝になります。
山頂まで登れない人が、麓で山を拝むという形は昔からあったものです。鳥海山を登山の対象としてではなく、信仰の対象として見るなら、口ノ宮が入口になります。
なぜ口ノ宮が2つあるのですか?
麓の2つの集落、吹浦と蕨岡のそれぞれに里宮が置かれてきたためです。口ノ宮という名前の「口」は、山へ入る入口を指す言葉として読むことができます。どちらの集落からも山頂へ向かう道があり、その起点に社があるという配置です。
明治に入ってからの扱いを見ると、2つの口ノ宮の関係がよくわかります。明治4年(1871年)5月にまず吹浦口ノ宮が国幣中社に列格し、明治13年(1880年)7月には山頂本社が国幣中社に改められました。翌明治14年には、官祭を隔年で行う制度が定められています。
一つの山に複数の入口と複数の社があり、それを一つの神社として束ねてきたという歴史が、現在の3社の形につながっています。昭和30年の社号の統一は、その長い並立の結果でした。
吹浦口ノ宮へはどう行きますか?
JR吹浦駅から徒歩7分です。車の場合は遊佐鳥海インターチェンジから10分ほどです。所在地は山形県飽海郡遊佐町吹浦布倉1で、駐車場は30台分あります。

- 所在地:山形県飽海郡遊佐町吹浦布倉1
- JR吹浦駅から徒歩7分
- 遊佐鳥海ICから車で10分
- 駐車場:30台
駅から歩ける距離にあるという点は、車を使わない人にとって大きな条件です。山頂の本社とは違い、電車の旅程の中に組み込めます。鳥海山の登山口である鉾立へ車で向かう途中に立ち寄る、という組み方もできます。
御朱印はいただけますか?
いただけます。受付時間は毎日、午前9時から正午までと、午後1時から午後5時までです。昼の1時間は受付が止まる点に注意してください。
| 時間帯 | 御朱印の受付 |
|---|---|
| 9:00〜12:00 | 受付あり |
| 12:00〜13:00 | 受付なし |
| 13:00〜17:00 | 受付あり |
鳥海山を登った日の帰りに寄る場合、下山の時刻によっては午後5時に間に合わないことがあります。山頂本社を参拝してから口ノ宮で御朱印をいただくという流れを考えているなら、登る前日に口ノ宮へ寄っておくほうが確実です。
例大祭はいつですか?
5月5日です。前日の5月4日に前夜祭があり、この2日間に吹浦田楽が奉納されます。

5月上旬の鳥海山は、まだ山頂付近に雪がたっぷり残る時期です。麓では例大祭が行われ、山の上は残雪期という季節のずれが、この山の大きさを表しています。
月山や出羽三山とはどう違いますか?
祀られている山が違います。出羽三山は月山、羽黒山、湯殿山の3つの山をまとめた信仰で、鳥海山大物忌神社は鳥海山という1つの山を祀る神社です。
どちらも山形県の庄内地方にあり、山岳信仰の山として並べて語られることがあります。月山の登山については月山の記事で扱いました。庄内の山を続けて訪ねる場合は、それぞれの神社がどの山を祀っているのかを先に押さえておくと混同しません。
鳥海山大物忌神社の名前を初めて見たとき、私は「大物忌」という言葉の意味がつかめませんでした。調べて分かったのは、これが祀られている神の名であり、鳥海山そのものを神として祀る神社だということです。山の名前と神の名前が一つの社号に並んでいる、という読み方をすると理解しやすくなります。
よくある質問|鳥海山大物忌神社
鳥海山大物忌神社の本社はどこですか?
鳥海山の山頂です。麓の吹浦と蕨岡には口ノ宮があります。
いつ創建されましたか?
創祀は欽明天皇25年(564年)とされています。貞観4年(862年)に官社に列格しました。
登らずに参拝できますか?
できます。麓の吹浦口ノ宮と蕨岡口ノ宮で参拝できます。
吹浦口ノ宮へのアクセスは?
JR吹浦駅から徒歩7分です。遊佐鳥海ICからは車で10分ほどで、駐車場は30台分あります。
御朱印の受付時間は?
毎日、午前9時から正午までと、午後1時から午後5時までです。
まとめ|鳥海山大物忌神社を訪ねる3ステップ
鳥海山大物忌神社は、山頂と麓の3か所に分かれた神社です。訪ねる前に次の順で決めてください。
- どの社殿を訪ねるかを決める。山頂の本社は登山が前提、口ノ宮は吹浦駅から徒歩7分
- 時間を合わせる。御朱印の受付は9時から12時と13時から17時で、昼の1時間は止まる
- 登山と組み合わせるなら順番を考える。下山後では受付に間に合わないことがあるため、前日に口ノ宮へ寄る
年表と御朱印の時間は遊佐鳥海観光協会、所在地と駐車場は山形県の観光案内をもとに整理しました。祭事の日程や受付時間は変わることがあるため、訪ねる前に確かめてください。
画像出典
画像はUnsplashより引用しました。撮影はYosuke Ota氏、Takashi Miyazaki氏、Shing氏、Luke Galloway氏。鳥海山大物忌神社の社殿を写したものではありません。


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