月ヶ瀬梅林の見頃はいつ?渓谷の1万本と一目八景

The plum grove of Tsukigase (ja:月ヶ瀬梅林) at Tuskigase-oyama, N 季節特集

月ヶ瀬梅林の見頃は2月中旬から3月が目安です。2026年の月ヶ瀬梅渓梅まつりは2月14日から3月29日まで開かれました。奈良市観光協会によると、五月川の渓谷の両岸に紅白合わせて約1万本の梅が植えられています。

月ヶ瀬梅林は大正11年(1922年)に奈良公園や金沢の兼六園とともに国の名勝として最初に指定された場所の一つです。この記事では奈良市と観光協会の資料から梅林ごとの違いと行き方を整理し、気象庁の記録から見頃の年ごとのずれをまとめました。

山の斜面から見下ろした月ヶ瀬湖と梅の咲く谷
梅林の斜面から見た月ヶ瀬湖(3月)(写真:N yotarou / CC BY 2.5 / Wikimedia Commons)

月ヶ瀬梅林とはどんな場所か

奈良市観光協会と奈良市のページから、基本の情報を書き出しました。

項目内容
所在地奈良県奈良市月ヶ瀬尾山
梅の本数五月川の渓谷沿いに約1万本(紅白)
名勝の指定大正11年(1922年)に国の名勝「月瀬梅林」に指定
見頃2月中旬〜3月
梅まつり2026年は2月14日〜3月29日
駐車場無料。時期によって一部が有料
問い合わせ月ヶ瀬観光協会(奈良市月ヶ瀬梅の資料館)0743-92-0300

五月川は名張川のこの辺りでの呼び名です。下流にダムができてからは谷の底が月ヶ瀬湖になり、湖の両側の斜面に梅林が広がる今の景色になりました。奈良県は月ヶ瀬湖と一緒に眺める梅林を景観資産に登録し、ダム湖に沈んだ梅林もあったと紹介しています。

紅花染めを支えた梅の歴史

奈良市の「月ヶ瀬の歴史」によると、江戸時代の月ヶ瀬村は年貢が重く農地も少なく、梅の実から作る「烏梅(うばい)」の収入が暮らしを支えていました。烏梅は紅花で布を染めるときに色を定着させる材料で、江戸の末には京都や大阪の問屋でよく売れました。

村の人たちは収入を増やそうと畑や山を開いて競うように梅を植え、谷一面が梅で覆われる景色が生まれました。江戸の末から明治にかけて儒学者の頼山陽や斎藤拙堂らが訪れて世に紹介し、天下の名勝として知られるようになります。月ヶ瀬梅林の梅は花を見るためではなく、実を取るために植えられたのが始まりです。

奈良市の月ヶ瀬梅渓のページは梅林の始まりを鎌倉時代としています。作家の谷崎潤一郎も随筆で月ヶ瀬の梅をたたえるなど、多くの文人に愛されてきました。今の梅林は名勝としての景色を守りながら、地元の人たちが手入れを続けている場所です。歩くときは畑や私有地に入らず、決められた観梅道を通るようにします。

川の流れる谷の斜面に咲く梅
五月川の谷に咲く月ヶ瀬梅林の梅(3月)(写真:N yotarou / CC BY 2.5 / Wikimedia Commons)

一目八景・梅林公園・天神梅林の違い

月ヶ瀬観光協会は梅林の中のいくつかの場所をそれぞれの見どころとして紹介しています。性格の違いを表にしました。

場所観光協会の紹介向いている人
一目八景メインの駐車場から歩いて約10分。坂を登りきると梅とダム湖を見下ろせる。坂はややきつい眺めを優先する人
梅林公園前身は「品種園」。全国から集めた約40種類・270本の梅品種の違いを見比べたい人
天神梅林梅林の中で最も高い所にあり、遅くまで花が残る。天神神社のとなり見頃の後半に出かける人
帆浦梅林渓谷の中に咲く梅林。観梅道沿いに店が多い食べ歩きも楽しみたい人
代官坂湖畔の里、もみじの小路、天神梅林、観梅道をつなぐつづら折りの坂道歩いて回りたい人

天神梅林が遅くまで花を楽しめるのは梅林の中でいちばん高い所にあって気温が低いためと考えられます(推測)。3月下旬に出かけて下の梅林が散り始めていたら、天神梅林まで登ると花が残っていることがあります。

「月ヶ瀬梅林 品種園」と彫られた石碑と梅の木
梅林公園の前身「品種園」の石碑(2008年3月)(写真:N yotarou / CC BY 2.5 / Wikimedia Commons)

奈良駅や伊賀上野からの行き方

月ヶ瀬観光協会のアクセスのページではバスと車の行き方を次のように案内しています。

出発地行き方所要時間
JR奈良駅・近鉄奈良駅奈良交通バスで「尾山」下車約80分
伊賀鉄道 上野市駅三重交通バスで「尾山」下車約30分
奈良方面(車)柳生経由で約32km約50分
大阪方面(車)西名阪自動車道・名阪国道経由。五月橋ICから一般道約4km約90分
名古屋方面(車)東名阪自動車道・名阪国道経由。五月橋ICから一般道約4km約100分

奈良市の中にありますが奈良駅からのバスより三重県の伊賀上野からのバスのほうが3分の1ほどの時間で着きます。名古屋方面から電車で行くなら伊賀上野側から入るのが近道です。奈良市のページでは梅まつりの期間にJR関西本線の月ヶ瀬口駅からの臨時バスも案内しています。臨時バスの日程は年ごとに変わるので、観光協会のお知らせを確かめてください。

斜面の家並みと梅の木の向こうに見える山
斜面に家と梅林が重なる月ヶ瀬の集落(2008年3月)(写真:N yotarou / CC BY 2.5 / Wikimedia Commons)

見頃の年ごとのずれ

月ヶ瀬梅林の開花の記録は公開されていないため、気象庁が梅の開花を観測している奈良の記録を見ました。気象庁の生物季節観測累年表から、2016年から2025年までの開花日を書き出しています。

年奈良の梅の開花日
2016年前年の12月27日
2017年1月7日
2018年2月10日
2019年1月24日
2020年1月19日
2021年前年の12月25日
2022年1月18日
2023年1月12日
2024年1月15日
2025年2月15日
平年値(1991〜2020年)1月31日

奈良の梅は年によって前の年の12月に咲くことがあり、10年の中で最も早い12月25日と最も遅い2月15日では52日もの差があります。10年の平均は1月17日で、平年値の1月31日より2週間ほど早くなっています。開花は観測している1本の木が咲き始めた日で、梅林全体の見頃とは違います。

奈良の平年の開花日(1月31日)から2〜3週間ほどあとに梅林の見頃が来ると考えると、月ヶ瀬梅林の見頃の目安は2月中旬から3月上旬です(推測)。月ヶ瀬は奈良の街より標高が高く冷え込むので、さらに遅れることもあります(推測)。

2026年の見頃の記録

奈良市観光協会の梅の開花情報では2026年3月16日の更新で月ヶ瀬梅林を「見頃」としていました。2026年の奈良の開花は観測されていますが累年表に載るのは2025年までのため、ここでは日付を出していません。少なくとも3月中旬に見頃だった年があることは2月中旬の梅まつりの開幕に合わせて出かけると早すぎる年もあることを示しています(推測)。梅まつりは2026年には3月29日まで続き、観光協会は最終日に終了を告知しました。

梅まつりの催しと期間外の楽しみ方

奈良市のページによると、梅まつりの期間には「春一番梅の郷ふれあいまつり」や天神社の「知恵餅まき」などの催しが開かれます。月ヶ瀬観光協会は梅まつりの期間中は休まずに営業し、開花の問い合わせにも答えています。催しの日程は年ごとに変わるので、出かける前に観光協会のお知らせを見ておきます。

梅まつりが終わると、4月上旬には湖畔の里つきがせで桜まつりが開かれます。4月下旬になると梅の木に小さな実がつき始めますが観光協会は許可のない梅の実の採取を禁じています。もとは実を取るために植えられた梅林なので、実は持ち主のものです。月ヶ瀬梅林は花の季節のあとも新緑の渓谷を歩く場所として楽しめます。

2月の月ヶ瀬の寒さ

月ヶ瀬梅林の近くでは三重県の上野(伊賀市)で気象庁が観測しています。標高は159mで、国土地理院の地図で見た月ヶ瀬の尾山のバス停付近(約220m)より60mほど低い所です。平年値(1991〜2020年)は次のとおりです。

月平均気温日最高気温日最低気温
1月3.5℃8.3℃-0.6℃
2月4.0℃9.4℃-0.5℃
3月7.3℃13.4℃2.0℃

2月の朝は平均で氷点下になり、日中も10℃に届きません。梅林は谷の斜面に広がっていて、一目八景や天神梅林へは坂を登ります。朝の冷え込みに備えた上着と、坂で暑くなったときに脱げる重ね着が向いています。寒い朝は周りの山で霧氷が見られることもあり、霧氷の記事で関西の霧氷の山を紹介しています。

梅の木が点在する谷あいの斜面と集落
谷の斜面に広がる月ヶ瀬梅林(2008年3月)(写真:N yotarou / CC BY 2.5 / Wikimedia Commons)

月ヶ瀬梅林を歩くときの注意

  • 一目八景へは坂道。駐車場から約10分だが傾斜がややきつい
  • 見頃の後半は最も高い天神梅林に花が残りやすい
  • 奈良駅からバスで約80分。伊賀上野からなら約30分
  • 駐車場は無料だが時期によって一部有料になる
  • 奈良の開花は年によって50日以上ずれる。直前に観光協会の開花情報を確かめる

関西で冬から早春に歩ける山として金剛山も紹介しています。関東の梅林では埼玉の越生梅林が月ヶ瀬と同じく駅から歩いて回れる梅林です。

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