霧氷とは?樹氷との違いと関西・九州で見られる4つの山

青空の下で白く凍りついた木の枝 全国

霧氷とは気温が氷点下のときに霧や雲の細かい水の粒、空気中の水蒸気が木の枝などに付いて凍った氷のことです。辞典ではでき方によって樹霜(じゅそう)・樹氷(じゅひょう)・粗氷(そひょう)の3つに分けられていて、樹氷は霧氷の一種にあたります。

東北の「樹氷」が有名ですが霧氷は関西や九州の標高1,200〜1,400mほどの山でも冬に見られます。この記事では霧氷の種類の違いを辞典の記述から整理し、ロープウェイやバスで近づける4つの山について、1〜2月の山頂の気温を気象庁の平年値から計算して並べました。

青空の下で白く凍りついた木の枝

霧氷とはどんな現象か

コトバンクに収録されている辞典の霧氷の説明をまとめると、次のようになります。

種類でき方見た目できやすい条件
樹霜空気中の水蒸気が直接氷になる(昇華)霜に似た針や板の形の結晶晴れて風の弱い夜から早朝
樹氷0℃より冷えても凍らずにいる霧の粒が枝にぶつかった瞬間に凍る白く不透明でもろい。「えびのしっぽ」の形マイナス5℃以下。風の強い山地
粗氷樹氷と同じく霧の粒が凍るが粒が比較的大きい半透明に近い堅い氷0℃に近い気温。マイナス2〜マイナス10℃

樹霜と樹氷の条件は改訂新版 世界大百科事典と百科事典マイペディア、粗氷の気温はブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の記述です。日本大百科全書(ニッポニカ)は粗氷はマイナス10℃くらいになると発生がまれになるとしています。

樹氷と粗氷はどちらも風上に向かって伸びていくので、付き方を見るとそのとき吹いていた風の向きがわかります。

雨氷は霧氷に入らない

気温がさらに0℃に近く、霧雨や雨のしずくが付いた場合はすぐには凍りきらずにゆっくり凍って透明な氷になります。世界大百科事典はこれを雨氷(うひょう)と呼んで、霧氷とは分けています。枝がガラスで包まれたように見えるのは雨氷です。

霧氷と樹氷の違い

霧氷は全体の呼び名で、樹氷はその中の1つです。ただし日本大百科全書によると、以前は木の枝に付く氷をまとめて樹氷と呼んでいたこともあり、今でも言葉の使い方は人によって少し違います。

蔵王や八甲田の「スノーモンスター」は樹氷の上にさらに雪が付いて木全体が覆われたものです。共同通信の用語解説は東北の山のアオモリトドマツ全体を雪と氷が覆った状態を樹氷と説明しています。東北の樹氷の見られる場所は樹氷の名所の記事で比べました。

地方ごとの呼び名

日本大百科全書によると、霧氷には地方ごとの呼び名があります。長崎県の雲仙岳の名物とされる「花ボロ」は樹氷のことも粗氷のこともあり、長野県の「木花(きばな)」はむしろ樹霜に近く、新潟県ではこれを「しが」と呼びます。

夕方の雪原に立つ霜で白くなった木々

霧氷が見られる4つの山

関西と九州で、公式の案内や公的な資料に霧氷・樹氷の記載がある山を4つ選びました。標高は地理院の標高データの値を丸めたものです。

山場所標高近づき方資料の記載
御在所岳三重・滋賀1,212mロープウエイで山上公園へ標高1,000m以上で12月下旬〜3月上旬(御在所ロープウエイ)
三峰山奈良・三重1,235m登山。霧氷の時期の土日祝に臨時バス冬は山頂付近で霧氷(奈良県のルートマップ)
鶴見岳大分約1,375m別府ロープウェイで約1,300mへ冬は霧氷が広がる(ANAの旅行ガイド)
雲仙(妙見岳)長崎約1,330mロープウェイで妙見岳へ霧氷「花ボロ」が名物(日本大百科全書)

御在所岳

御在所ロープウエイの案内では樹氷は1月から2月にかけてできる気象条件がそろいやすく、山上公園の朝陽台広場や散策路、観光リフトの頂上駅付近で見られる機会が多くなります。気象条件によっては見られない日もあるとしています。登山コースとロープウエイの使い方は御在所岳の記事にまとめました。

三峰山

奈良県のルートマップ(2009年更新)によると、霧氷のシーズンの土日と祝日だけ、奈良交通の臨時バス「霧氷号」が近鉄榛原駅からみつえ青少年旅行村まで運行します。マップには奈良交通のホームページで確かめるよう書かれているので、運行日と予約の有無は出かける前に確かめてください。登山口から山頂までは歩いて登ります。

鶴見岳

ANAの旅行ガイドでは鶴見岳の標高は1,375mで、別府ロープウェイで標高1,300mの場所まで約10分で上がれ、冬は霧氷が広がる銀世界になると紹介されています。別府ロープウェイの冬季(11月15日〜3月14日)の営業は始発9時00分、上りの最終便が16時30分です。

雲仙

雲仙岳の霧氷は地元で「花ボロ」と呼ばれ、日本大百科全書にも名物として載っています。雲仙岳には気象庁の観測所(標高677.5m)があり、霧や雪の日数の平年値も公開されています。

曇り空の下で氷と雪に覆われた木々

4つの山の1〜2月の気温

山頂の近くの気象庁の観測点の平年値(1991〜2020年)を気象庁が標高補正に使う「100mにつき0.6℃」で山頂の高さに換算しました。

山元にした観測点1月の平均1月の日最低2月の平均2月の日最低
御在所岳(1,212m)亀山(70m)約-2.6℃約-6.8℃約-2.2℃約-6.6℃
三峰山(1,235m)針(468m)約-3.3℃約-7.2℃約-2.9℃約-7.3℃
鶴見岳(1,375m)湯布院(435m)約-3.3℃約-7.8℃約-2.2℃約-7.2℃
妙見岳(約1,330m)雲仙岳(677.5m)約-1.4℃約-4.6℃約-0.3℃約-4.0℃

どの山も1〜2月の平均気温はマイナス0.3℃からマイナス3.4℃の間で、朝の冷え込みはマイナス4〜8℃前後です。御在所岳は元にした亀山との標高差が1,100m以上あるので、誤差が大きいと考えてください。

辞典の気温の条件と比べると

辞典では樹氷のできる気温をマイナス5℃以下、粗氷をマイナス2〜マイナス10℃としています。4つの山の平均気温はマイナス5℃より高く、冷え込んだ朝にマイナス5℃を下回る計算です。

このことから、関西や九州の霧氷は冷え込んだ朝の樹氷と、それほど冷えない日の粗氷が混じったものになりやすいと考えられます(推測)。樹氷の名所の記事で計算した八甲田の山頂公園駅は1月の平均がマイナス10℃前後でした。気温の差が東北のモンスターのように大きく育つかどうかの違いの1つになっています。

霧が出る日の数

霧氷には氷点下の気温に加えて、霧や雲が山に掛かることが必要です。雲仙岳の観測所の平年値では霧の日数は次のとおりです。

月霧日数雪日数日最低気温(観測所)
12月7.9日7.4日1.2℃
1月6.3日9.9日-0.7℃
2月7.6日7.5日-0.1℃
3月8.2日3.7日2.8℃

1月でも霧の出る日は月に6日ほどです。霧の出た日と気温が下がった日が重ならないと霧氷はできないので、行けば必ず見られるものではありません。3月は霧の日が増えますが観測所の日最低気温が2.8℃まで上がり、山頂でも霧氷のできる冷え込みは減っていきます。

風の向きと霧氷の伸びる向き

樹氷と粗氷は風上に向かって伸びます。雲仙岳の観測所の平年値では12月から3月まで最も多い風向きはどの月も西北西で、1月の平均風速は毎秒4.5mです。冬の季節風が北西から吹き付けるため、妙見岳の霧氷は枝の西北西の側に伸びていくと考えられます(推測)。

写真を撮るときも霧氷の伸びている側から見るのか、反対側から見るのかで印象が変わります。風上の側から見ると、氷の先がこちらを向いて白く厚く見えます。御在所ロープウエイも樹氷ができる条件として水蒸気・風・氷点下の3つを挙げていて、風は霧氷に欠かせない条件です。

霜で白くなった森

見に行く時間帯

日本大百科全書は樹霜が晴れて風の弱い夜から早朝にかけてできやすいとしています。霧氷は気温が上がったり日が当たったりすると落ちていくので、見に行くなら午前中、それも早い時間が向いていると考えられます(推測)。ロープウェイの始発の時刻を調べて、始発に近い便で上がる計画にしておくと見られる可能性が上がります。

前の晩に冷え込み、山に雲が掛かっていた日の翌朝が狙い目です。出かける前の日に山の上の気温の予報と、雲が掛かるかどうかを見ておきます。

霧氷を見に行くときの注意

  • ロープウェイの山上でも朝はマイナス5℃前後の世界。冬山の服装で出かける(冬の登山の服装の記事)
  • 散策路や登山道は凍っていることが多い。滑り止めを持つ(チェーンスパイクの記事)
  • ロープウェイは強風や点検で止まることがある。前日と当日の朝に運行を確かめる
  • 三峰山のように歩いて登る山は積雪期の登山になる。雪山の基本は雪山登山の基本の記事を見てほしい
霜の付いた木々の間を抜ける朝の山道

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