上高地の標高はおよそ1,500mです。気象庁のアメダス上高地観測所の標高が1,510mで、国土地理院の標高データでは河童橋のあたりが1,506m、大正池が1,488m、徳沢が1,555mでした。入口の釜トンネルから奥の徳沢まで歩いても上りは90mほどしかありません。
▶ 上高地の全体像は「上高地ハイキングは初心者向き?電車バス旅の入門」にまとめています。
この記事では国土地理院と気象庁の公開データを使って、上高地の地点ごとの標高と、周りの山との高さの差を計算しました。標高が1,500mあると気温がどれくらい下がるのかも松本の平年値から換算しています。

上高地の地点ごとの標高
国土地理院の地名検索で出てくる各地点の位置について、地理院の標高APIで標高を調べました。結果は次のとおりです。
| 地点 | 標高 | データの細かさ |
|---|---|---|
| 釜トンネル | 1,468m | 1mメッシュ(レーザ測量) |
| 大正池 | 1,488m | 1mメッシュ(レーザ測量) |
| 田代池 | 1,495m | 10mメッシュ |
| 河童橋 | 1,506m | 10mメッシュ |
| 小梨平 | 1,507m | 1mメッシュ(レーザ測量) |
| 明神橋 | 1,526m | 1mメッシュ(レーザ測量) |
| 徳沢 | 1,555m | 1mメッシュ(レーザ測量) |
標高は小数点以下を四捨五入しています。地名の位置は地図上の1点なので、橋の上か川原かといった立つ場所によって数mは変わります。それでも上高地の歩く範囲が1,470mから1,560mのあいだに収まっていることがわかります。
気象庁のアメダス地点の一覧では上高地観測所の標高を1,510mとしています。観測所の位置は北緯36度14.9分、東経137度38.0分と示されていて、河童橋から西へ400mほどの場所にあたります。「上高地の標高は約1,500m」という言い方はこの数字とも合っています。
区間ごとの上りはどれくらいか
地点のあいだの直線距離と標高差から、勾配(100m進むあいだに何m上るか)を計算しました。歩道は曲がっているので実際に歩く距離はこれより長く、勾配はさらにゆるくなります。
| 区間 | 直線距離 | 標高差 | 勾配 |
|---|---|---|---|
| 釜トンネル → 大正池 | 2.08km | +20m | 0.96% |
| 大正池 → 田代池 | 0.83km | +7m | 0.88% |
| 田代池 → 河童橋 | 1.86km | +11m | 0.59% |
| 河童橋 → 明神橋 | 2.59km | +20m | 0.76% |
| 明神橋 → 徳沢 | 2.16km | +29m | 1.34% |
いちばん急な明神橋から徳沢でも100m進んで1.3mほどの上りです。大正池から徳沢までの直線距離は7.09kmで、上りは67mでした。上高地の散策路が「山の中なのに平らで歩きやすい」と言われる理由が数字でも確かめられます。
河童橋から歩く主なコースの所要時間は上高地のハイキングコースの記事にまとめています。体力に合わせた回り方は日帰りプランの記事も参考にしてください。

なぜ1,500mの高さに平らな谷があるのか
上高地公式サイトによると、大正池は1915年(大正4年)6月の焼岳の噴火でできました。流れ出た土石流が梓川をせき止め、そこにたまった水が池になったと説明されています。
上高地は梓川に沿って細長く続く谷で、周りを3,000m級の山に囲まれています。上高地は1934年に中部山岳国立公園に入り、1952年には特別名勝と特別天然記念物に指定されました。標高1,500mの平らな谷底を歩きながら3,000m級の山を見上げられる場所だということです。
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国土地理院の「日本の主な山岳標高」の数字と位置から、河童橋(1,506m)との標高差と直線距離を計算しました。
| 山 | 標高 | 河童橋との差 | 河童橋からの直線距離 |
|---|---|---|---|
| 奥穂高岳 | 3,190m | 1,684m | 4.6km |
| 前穂高岳 | 3,090m | 1,584m | 4.2km |
| 西穂高岳 | 2,909m | 1,403m | 3.5km |
| 霞沢岳 | 2,646m | 1,140m | 3.1km |
| 焼岳 | 2,455m | 949m | 5.2km |
| 槍ヶ岳 | 3,180m | 1,674m | 10.4km |
奥穂高岳は河童橋から5kmもない距離にあり、そのあいだで1,700m近く高くなります。上高地の歩道では標高がほとんど変わらないのに対して、山に入ると一気に上ることがわかります。焼岳の登り方は焼岳の記事で扱っています。
ちなみに東京の高尾山の山頂は599mです(高尾山の標高の記事)。上高地の河童橋は高尾山の山頂より900mほど高いところにあります。

松本から上高地までに上る高さ
上高地へは松本から電車とバスを乗り継いで向かう人が多いです。途中の地点の標高も同じ方法で調べると、次のようになりました。
| 地点 | 標高 | 松本駅からの上り |
|---|---|---|
| 松本駅前 | 約585m | – |
| 新島々駅(アルピコ交通上高地線の終点) | 約693m | 約110m |
| 沢渡(マイカーからの乗り換え地) | 約1,000m | 約415m |
| 坂巻温泉 | 約1,206m | 約620m |
| 釜トンネル(上高地の入口) | 約1,468m | 約880m |
| 河童橋 | 約1,506m | 約920m |
松本駅前と新島々駅、沢渡、坂巻温泉は地名の位置の標高で、駅舎や駐車場の正確な高さではありません。それでも上りのほとんどがバスに乗っている区間にあり、新島々駅から釜トンネルまでのあいだだけで約780m上っていることがわかります。
岐阜県側から入る場合も平湯温泉の標高は約1,279mで、上高地との差は200m余りです。どちらから入っても、バスを降りた時点ですでに平地より900m前後高い場所にいることになります。
標高1,500mの気温の目安
上高地のアメダスは降水量だけを観測していて、気温の平年値はありません。そこで松本の気温の平年値(1991〜2020年、観測所の標高610m)を使い、標高差の900m分だけ気温を下げて目安を出しました。
下げる幅は気象庁がメッシュ平年値の解説で使っている「100mにつき0.6℃」です。900mで5.4℃下がる計算になります。
| 月 | 平均気温 | 日最高 | 日最低 |
|---|---|---|---|
| 4月 | 5.4℃ | 12.5℃ | -1.0℃ |
| 5月 | 11.1℃ | 18.2℃ | 5.0℃ |
| 6月 | 14.8℃ | 21.0℃ | 10.0℃ |
| 7月 | 18.8℃ | 24.6℃ | 14.4℃ |
| 8月 | 19.7℃ | 26.0℃ | 15.1℃ |
| 9月 | 15.0℃ | 20.8℃ | 10.8℃ |
| 10月 | 8.5℃ | 14.4℃ | 3.8℃ |
| 11月 | 2.4℃ | 8.5℃ | -2.8℃ |
この表は松本の平年値から一律に5.4℃引いた推定値で、上高地で測った値ではありません。谷の底には冷えた空気がたまりやすいので、晴れた日の朝はこれより冷え込むこともあると考えておくと安心です。
8月でも日最低気温の目安は15℃ほどで、10月は4℃前後、閉山前の11月は朝に氷点下になる計算です。季節ごとの服の選び方は上高地の服装の記事にまとめています。
東京との差は春と秋に大きくなる
同じ推定値を東京の平年値と比べると、差は季節によって変わります。
| 月 | 東京の平均気温 | 上高地の目安 | 差 |
|---|---|---|---|
| 4月 | 14.3℃ | 5.4℃ | 8.9℃ |
| 5月 | 18.8℃ | 11.1℃ | 7.7℃ |
| 7月 | 25.7℃ | 18.8℃ | 6.9℃ |
| 8月 | 26.9℃ | 19.7℃ | 7.2℃ |
| 10月 | 18.0℃ | 8.5℃ | 9.5℃ |
| 11月 | 12.5℃ | 2.4℃ | 10.1℃ |
夏は7℃前後の差ですが、10月と11月は10℃近く低くなります。東京の10月の日最低気温は14.8℃なのに対して、上高地の目安は3.8℃です。東京の感覚で秋の上高地に行くと、朝晩の寒さに驚くことになります。

雨の量は松本の2.6倍
上高地のアメダスで測っている降水量の平年値は年間2,721.3mmです。松本は1,045.1mmなので、上高地には松本の約2.6倍の雨や雪が降っています。
| 月 | 上高地 | 松本 | 上高地は松本の |
|---|---|---|---|
| 4月 | 193.1mm | 81.1mm | 2.4倍 |
| 5月 | 243.6mm | 94.5mm | 2.6倍 |
| 6月 | 286.5mm | 114.9mm | 2.5倍 |
| 7月 | 428.4mm | 131.3mm | 3.3倍 |
| 8月 | 250.7mm | 101.6mm | 2.5倍 |
| 9月 | 264.0mm | 148.0mm | 1.8倍 |
| 10月 | 211.4mm | 128.3mm | 1.6倍 |
| 11月 | 182.9mm | 56.3mm | 3.2倍 |
特に7月は上高地だけで428.4mmと、松本の3倍以上になります。松本で晴れていても上高地では雨ということがあるので、雨具は季節を問わず持っていくのが基本です。
標高のほかに知っておきたいこと

数字で見ると上高地は「高い場所にある平らな谷」です。歩くこと自体はきつくありませんが、気温は松本より5℃ほど低く、雨も多い場所だと思って準備すると、現地で慌てずに済みます。


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