この記事でわかること
- 「くじゅう」「九重」「久住」は指す範囲が違う
- 火山群の全体を指すのがくじゅう連山、その中の一山が久住山
- 最高峰は中岳1,791mで、九州本土の最高峰にあたる
- 久住山は1,786mで、中岳より5m低い
- 牧ノ戸峠1,329mからの往復は約4時間
くじゅう連山を調べると、ひらがなの「くじゅう」、漢字の「九重」、そして「久住」の3通りが出てきます。どれかが間違いというわけではなく、指している範囲が違います。この記事では表記の使い分けと、峰ごとの標高、牧ノ戸峠からの行程を整理します。

3つの表記が指すもの
火山群や周辺地域の全体を指すときは「くじゅう連山」または「九重連山」、その中の主峰である一山を指すときは「久住山」が使われます。
| 表記 | 指すもの |
|---|---|
| くじゅう連山 | 火山群と周辺地域の全体 |
| 九重連山 | 同じく全体を指す漢字表記 |
| 久住山 | 連山の中の一山(1,786m) |
| 九重町・久住町 | 大分県の自治体名 |
国土地理院の火山土地条件図では、ひらがなの「くじゅう連山」が採用されています(国土地理院の火山土地条件図)。全体を指すときにひらがなが使われるのは、この表記が中立だからです。
なぜ表記が分かれたのか
表記の違いは、山麓に開かれた2つの寺院に由来します。旧竹田領側に九重山白水寺、旧肥後領側に久住山猪鹿寺があり、それぞれの山号が地域の呼び名として定着しました。
その結果、九重町では「九重山」、久住町では「久住山」という書き方が使われるようになります。山が県境ではなく、大分県玖珠郡九重町と竹田市久住町の境界に位置していることも、この並立を残しました。
つまりどちらかが正式でどちらかが誤りという関係ではありません。地域ごとの歴史が、そのまま表記として残っている形です。
最高峰は中岳1,791m
連山の最高峰は中岳の1,791mで、九州本土の最高峰にあたります。久住山は1,786mで、中岳より5m低い位置です。
名前の知名度では久住山が上ですが、標高では中岳が上という逆転が起きています。「九州本土最高峰に立った」と言うには、久住山ではなく中岳を踏む必要があります。
- 中岳:1,791m/九州本土最高峰
- 久住山:1,786m/連山の主峰として知られる
- 差は5m、名前の知名度と標高が一致しない
屋久島の宮之浦岳が九州最高峰とされるため、中岳には「本土」という限定がつきます。この言い回しも混乱しやすい点です。

牧ノ戸峠からの標高差は約450m
最も使われる登山口が牧ノ戸峠です。編集部で標高データを照合したところ1,329mでした。久住山1,786mとの差は約457mになります。
この数字が示すとおり、くじゅう連山は登山口の標高が高い山域です。1,300m台から歩き始めるため、1,700m台の頂に立つのに登る量は500m未満で済みます。
牧ノ戸峠から久住山を往復する行程は約4時間です。標高差の小ささに対して時間がかかるのは、複数の峰を越えていく地形だからです。
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くじゅう連山の特徴は、独立した頂を1つ登るのではなく、峰から峰へ渡り歩く点にあります。牧ノ戸峠から久住山へ向かう途中も、沓掛山を越え、久住分かれと呼ばれる鞍部を通ります。
この構造のため、登った分だけ下り、また登り返す区間が繰り返されます。標高差457mという数字は起点と終点の差でしかなく、実際に足が上げ下げする量はこれを上回ります。
私も稜線を渡る山では、標高差の数字より「いくつ峰を越えるか」で疲れ方が決まると感じています。くじゅう連山はその典型です。
- 沓掛山、久住分かれを経て久住山へ
- 登り返しが繰り返され、累積の登りは標高差を上回る
- 中岳まで足を延ばすなら、さらに時間を足す
登山口が3つに分かれる
くじゅう連山へ入る道は牧ノ戸峠だけではありません。北側の長者原と、東側の赤川登山口も使われます。
| 登山口 | 標高の目安 | 性格 |
|---|---|---|
| 牧ノ戸峠 | 約1,329m(編集部実測) | 最も高く、最短で稜線に出る |
| 長者原 | 約1,000m | 坊ガツルへ向かう起点、湿原の景色 |
| 赤川登山口 | 約1,000m | 久住山へ直登する南側の道 |
牧ノ戸峠が選ばれるのは、標高がすでに1,300mを超えているからです。ほかの2つは300m以上低い位置から歩き始めることになり、同じ久住山を目指しても登る量が変わります。
その代わり長者原からの道は、坊ガツルの湿原とそこに建つ山小屋を経由します。歩く量は増えますが、稜線だけでは見られない景色が入ります。
坊ガツルという中継点
連山の中央部には坊ガツルと呼ばれる湿原があり、キャンプ場と山小屋が置かれています。峰に囲まれた盆地状の平坦地で、複数のコースが集まる交差点になっています。
ここを拠点にすれば、1日で複数の峰を回る組み立てができます。日帰りで牧ノ戸峠を往復する行程とは、まったく違う歩き方です。
九州の山で泊まりを前提にした行程が組みやすいのは、この坊ガツルの存在が大きくなります。日帰りだけで考えると、くじゅう連山の半分しか見えません。
季節で表情が変わる
くじゅう連山が最も混むのは5月中旬から6月中旬です。ミヤマキリシマが山肌をピンクに染める時期で、登山者が集中します。
秋は10月中旬に紅葉が見頃を迎えます。樹林の紅葉というより、草地が赤茶けて色づく景色が広がる山域です。
冬は霧氷が付き、九州の山としては本格的な冬山になります。標高1,700m台でも、九州の平地の感覚で入る場所ではありません。
季節ごとの混み方も違います。ミヤマキリシマの時期は牧ノ戸峠の駐車場が夜明け前に埋まることがあり、紅葉期の週末も同様です。逆に夏は花の時期を過ぎ、登山者の数が落ち着きます。混雑を避けたいなら、有名な季節を外すという選び方も成り立ちます。
硫黄山と火山ガスへの注意
くじゅう連山は活火山です。連山の西側にある硫黄山では噴気が上がり続けており、風向きによっては登山道に硫黄のにおいが流れてきます。
1995年には硫黄山で噴火が発生し、周辺の登山道が一時的に閉鎖されました。現在は歩ける状態ですが、火山であるという前提は変わりません。
稜線を歩いていて刺激臭を感じたら、その場にとどまらず風上へ移動してください。窪地や谷筋はガスがたまりやすく、体調の変化が出やすい場所になります。
- 硫黄山では現在も噴気が上がっている
- 窪地や谷筋はガスがたまりやすい
- 刺激臭を感じたら風上へ移動する
九州のほかの山と比べる
九州には火山が集中しており、山ごとに条件が大きく違います。
阿蘇山は噴火警戒レベルによって登れる範囲が変わります。由布岳は2つの峰で難易度が分かれ、祖母山は道迷いへの備えが要る山です。
この中でくじゅう連山は、登山口が高く歩きやすい部類に入ります。九州の山を初めて歩くなら、選びやすい山域です。ただし歩きやすさと安全は別で、活火山であることと稜線の風の強さは、ほかの九州の火山と変わりません。
よくある質問|くじゅう連山
くじゅう連山と九重連山は違いますか?
同じものを指します。ひらがなと漢字の表記の違いで、国土地理院の火山土地条件図ではひらがなが使われています。
久住山とくじゅう連山は同じですか?
違います。久住山は連山の中の一山で標高1,786m、くじゅう連山は火山群全体を指します。
九州本土最高峰はどの山ですか?
中岳の1,791mです。久住山より5m高く、連山の最高峰にあたります。
なぜ表記が3通りあるのですか?
山麓の九重山白水寺と久住山猪鹿寺という2つの寺院の山号が、それぞれの地域の呼び名として定着したためです。
牧ノ戸峠から久住山まで何時間かかりますか?
往復で約4時間です。標高差は約457mですが、峰を越える区間が繰り返されます。
くじゅう連山の紅葉はいつ見頃ですか?
10月中旬が目安です。草地が色づく景色が広がります。
登山口はどこを選べばいいですか?
最短なら標高1,329mの牧ノ戸峠です。坊ガツルの湿原を見るなら長者原からになります。
坊ガツルとは何ですか?
連山の中央にある湿原で、キャンプ場と山小屋があります。複数のコースが集まる中継点です。
ミヤマキリシマの時期はいつですか?
5月中旬から6月中旬です。この期間が最も混みます。
まとめ|くじゅう連山の押さえ方
表記の違いを整理しておくと、検索で出てきた情報がどの範囲の話かを見分けられます。
- 全体を指すなら「くじゅう連山」、一山を指すなら「久住山」と使い分ける
- 九州本土最高峰は久住山ではなく中岳1,791mと押さえる
- 牧ノ戸峠1,329mを起点に、往復約4時間で計画を組む
名前で迷わなくなると、コースの情報も読み分けられるようになります。同じ「くじゅう」でも、連山全体の話なのか久住山1座の話なのかで、必要な時間と装備は変わります。


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