樽前山の溶岩ドームは登れる?外輪山の歩き方

植生のない火山地形の高まり 全国

樽前山の基本情報

山名樽前山
所在地北海道
標高1,041m

この記事でわかること

  • 樽前山の最高点1,041mは溶岩ドームの上で、立入禁止区域にある
  • 登山者が立つのは東山1,022mと西山994m
  • 溶岩ドームは比高約120m、最大径約450mの高まり
  • 7合目登山口から東山までは約50分
  • 噴火警戒レベルは1だが、溶岩ドーム周辺は警戒対象

樽前山の標高を調べると1,041mと出てきます。ところがこの数字は、登山者が立てる場所の高さではありません。最高点は火口原の中央にある溶岩ドームの上で、そこは立入禁止区域です。この記事では樽前山の「登れる山頂」と「登れない最高点」の関係を整理します。

植生のない火山地形の高まり

最高点と登れる山頂は別

樽前山は北海道苫小牧市の北西、支笏湖の南側にある活火山です。日本二百名山に数えられます。

地点標高登れるか
溶岩ドーム1,041m立入禁止区域の中
東山1,022m一等三角点「樽前岳」、登山の目的地
西山994m三等三角点、外輪一周のもう一方

つまり「樽前山に登った」と言うとき、実際に立つのは東山か西山です。最高点の1,041mは、外輪の稜線から眺める対象になります。

溶岩ドームという地形

溶岩ドームは、粘り気の強い溶岩が火口から押し上げられてできた高まりです。樽前山のものは比高が約120m、最大径が約450mあります。

火口原の中央に、平らな地面から突然せり上がった塊が乗っている形です。周囲に木がないため、外輪の稜線からは全体が一望できます。

この地形が樽前山の景観を決めています。稜線を歩きながら、常に中央のドームを見ている状態になります。歩く向きを変えるたびにドームの見え方が変わるため、外輪を一周する意味がここにあります。

溶岩ドームの表面からは、今も噴気が上がる箇所があります。遠目には静かな岩の塊に見えますが、白い筋が立ちのぼる様子は稜線からでも確認できます。この山が活動中であることが、写真ではなく目の前で分かります。

外輪山の内側は立入禁止

外輪山の内側、つまり火口原と溶岩ドームを含む範囲は立入禁止区域として案内されています。苫小牧市もこの区域を地図で示しています(苫小牧市の樽前山の案内)。

登山道は外輪の稜線上に整備されており、この区域に入らない形で東山と西山を結びます。標識に従って歩けば、意図せず区域へ入ることはありません。

最高点を踏みたいという発想は、この山では成立しません。1,041mという数字は記録のための値であって、目指す対象ではないと理解しておくのが実際的です。

火口原を囲む外輪の地形

7合目から東山まで約50分

苫小牧市の案内によると、市内から7合目ヒュッテまで車で約60分、7合目から頂上までは約50分です(苫小牧市の樽前山の案内)。

登山口がすでに高い位置にあるため、歩く時間が短く収まります。標高1,000m級の火山でありながら、半日で往復できる山です。

外輪を一周する場合の目安は次のとおりです。

  1. 7合目駐車場から見晴台まで約20分
  2. 見晴台から東山まで約45分
  3. 東山から西山まで約1時間15分
  4. 西山から7合目駐車場へ約1時間5分

合計すると3時間半ほどです。東山を往復するだけなら2時間かからず、体力に合わせて行程を選べます。

噴火警戒レベル1の中身

樽前山の噴火警戒レベルは1です。平成19年12月1日に札幌管区気象台が発表し、現在も継続しています(気象庁の火山活動の状況)。

ただし気象庁は「山頂火口原内の溶岩ドーム及びその近傍では、火山ガスや火山灰噴出に対する警戒が必要」としています。レベル1でも、火口原の中は別扱いということです。

対象市町村として苫小牧市と千歳市が挙げられています。立入禁止区域と警戒の呼びかけは、この火山活動を前提に設定されたものです。

火山の規制情報をどう読むかは十勝岳は今登れる?にまとめています。

溶岩ドームは1909年にできた

樽前山の溶岩ドームは、地質年代の話ではありません。1909年の活動で押し上げられたもので、100年余りの歴史しかない地形です。

人が写真に記録できる時代に山の形が変わったという点が、この山を特別にしています。麓の町から見上げる樽前山の輪郭は、明治の終わりまでは今と違っていました。

火山の地形は長い時間をかけてできると考えがちですが、樽前山の中心部は短期間で姿を変えました。立入禁止区域が設定されているのは、その変化がまだ終わっていないからです。

支笏湖と並べて見える位置

樽前山は支笏湖の南岸に接しています。外輪の稜線に立つと、北側に湖面、南側に太平洋という配置が同時に視界へ入ります。

湖と海を1つの稜線から見渡せる山は多くありません。標高1,000m級で歩く量も少ないのに、この眺めが得られる点が樽前山の価値になります。

隣には風不死岳がそびえ、縦走でつなぐこともできます。ただし樽前山の外輪一周とは別の行程になるため、時間の見積もりは分けて考えてください。

  • 北側に支笏湖、南側に太平洋
  • 隣の風不死岳へ縦走もできる
  • 縦走は外輪一周とは別行程として計画する

風を遮るものがない稜線

外輪の稜線には樹木がありません。溶岩と火山灰に覆われた地面が続き、視界を遮るものがない代わりに、風もそのまま受けます。

支笏湖側から吹き上げる風が強い日は、東山の頂で立っていられないこともあります。歩行時間が短い山ですが、風対策を省ける山ではありません。

私も樹林のない火山では、行動時間の短さに油断して薄着で入り、稜線で後悔したことがあります。歩く時間と必要な装備は比例しません。

  • 樹木がなく、風を遮るものがない
  • 支笏湖側からの吹き上げが強い日がある
  • 行動時間が短くても防風着は持つ

7合目ヒュッテは宿泊施設ではない

登山口にある樽前山7合目ヒュッテは、苫小牧市が管理する建物です。名前から山小屋を連想しますが、通常の宿泊には使えません。

位置づけは緊急時の避難場所です。営業している小屋のように食事や寝具が用意されているわけではなく、泊まりを前提に計画を組む対象にはなりません。

樽前山は日帰りで完結する山です。ヒュッテを宿泊地に見込んだ行程を立てると、当日になって成り立たないことになります。

  • 苫小牧市が管理する建物
  • 通常の宿泊には使えず、緊急時の避難用
  • 行程は日帰りで組み立てる

登山口までの道も季節で変わる

7合目ヒュッテまでは林道を車で上がります。市内から約60分という所要は、この林道が通れる前提の数字です。

冬期は林道が閉鎖され、7合目まで車で入れません。積雪期に樽前山へ向かう場合は、麓から歩く別の行程になります。

つまり「7合目から50分」という手軽さが成り立つのは、林道が開いている期間だけです。訪れる時期を決めたら、林道の状況を先に確認してください。

北海道のほかの火山と比べる

北海道には活火山が多く、山ごとに条件が違います。

十勝岳は噴火警戒レベルの推移で登れる範囲が変わる山です。羅臼岳はヒグマへの備えが前提になり、羊蹄山は標高差の大きさが課題になります。

樽前山はこの中で最も歩く量が少なく、火山地形を間近で見られる山です。北海道の山を初めて歩くときの候補になります。

よくある質問|樽前山

樽前山の標高は何メートルですか?

最高点は溶岩ドームの1,041mです。ただしそこは立入禁止区域で、登山者が立つのは東山1,022mになります。

溶岩ドームには登れますか?

登れません。外輪山の内側は立入禁止区域として案内されています。

溶岩ドームはどれくらいの大きさですか?

比高が約120m、最大径が約450mです。火口原の中央にせり上がっています。

7合目から山頂まで何分かかりますか?

約50分です。苫小牧市内から7合目ヒュッテまでは車で約60分になります。

外輪を一周するとどれくらいですか?

3時間半ほどが目安です。東山の往復だけなら2時間かかりません。

樽前山は今登れますか?

噴火警戒レベルは1で登れます。ただし溶岩ドーム周辺は火山ガスと火山灰への警戒が呼びかけられています。

溶岩ドームはいつできたのですか?

1909年の活動で押し上げられました。100年余りの歴史しかない地形です。

樽前山から支笏湖は見えますか?

見えます。外輪の稜線からは北に支笏湖、南に太平洋が同時に視界へ入ります。

隣の風不死岳へ縦走できますか?

できます。ただし外輪一周とは別の行程になるため、時間を分けて見積もってください。

まとめ|樽前山を計画する手順

樽前山は、最高点と登山の目的地が一致しない珍しい山です。

  1. 目指すのは東山1,022mで、1,041mの溶岩ドームは眺める対象と押さえる
  2. 7合目から東山の往復か、外輪一周3時間半かを決める
  3. 気象庁で噴火警戒レベルを確認し、火口原に入らない前提で歩く

数字の最高点にこだわらないほうが、この山は理解しやすくなります。

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