斜里岳は北海道の知床半島の付け根にそびえる、標高1,547mの日本百名山です。最もよく使われる清里町側の登山道は、前半のほとんどが沢の中を歩く道で、登山口から上二股まで数十か所の渡渉があります。地元のきよさと観光協会は、沢の道である旧道ではなく、尾根の道である新道を往復することを強く勧めています。この記事では、清里町ときよさと観光協会の案内をもとに、斜里岳のコースの特徴と登る前に確かめておくことを整理します。
この記事でわかること
- 斜里岳が標高1,547mで、知床と阿寒の山々の間にある百名山であること
- 清岳荘から沢を登る旧道と、尾根を通る新道があること
- 地元の観光協会が新道の往復を強く推奨していること
- 上二股まで数十か所の渡渉があり、スパッツが必携とされること
- 清岳荘の営業期間と、登山口へ向かう林道のゲートの期間
斜里岳はどんな山ですか?
知床の山々と阿寒の山々のほぼ中間に立つ、標高1,547mの山です。オホーツク海側から眺めると裾野の長い円錐形に見え、阿寒側からはいくつものピークを持つ山であることがわかります。

清里町の斜里岳ガイドによると、斜里岳という名前は斜里川の水源を持つことに由来し、アイヌ語では遠音別岳や海別岳とともにオンネヌプリと呼ばれていたようです。毎年4,000人以上が登るともいわれますが、山開きなどの催しの時期を除けば静かな山歩きができると紹介されています。
北海道東部には、同じく百名山の羅臼岳や、阿寒の雄阿寒岳があります。その中で斜里岳は、沢を登るという点で他の山と歩き方が大きく異なります。
旧道と新道はどう違いますか?
旧道は沢を詰めて登る道、新道は途中から尾根に上がる道です。どちらも清岳荘を起点とし、上二股で合流します。
| 比べる項目 | 旧道(沢コース) | 新道(尾根コース) |
|---|---|---|
| 道の性格 | 一の沢を詰めて登る | 熊見峠を通る尾根の道 |
| 主な見どころ | 見晴らしの滝などの連続する滝 | 本峰と南斜里を一望する稜線 |
| 注意点 | 岩の崩落と滑落の恐れ | 帰路に5〜10分の登り返しが3か所ほど |
| 観光協会の推奨 | 下りでは使わない | 往復での利用を強く推奨 |
清里町の斜里岳ガイドには、登りは沢コースを使うのが一般的と書かれています。一方で、きよさと観光協会の登山情報は、旧道には岩の崩落や滑落の恐れがあるとして、新道の往復を強く推奨しています。旧道を使う場合は、内容を十分に確かめたうえで自分の判断と責任で登るよう求めています。
私は2つの案内を読み比べ、登りに沢を使うかどうかで迷ったときは、登山口の清岳荘を運営して現地の状況を日々見ている観光協会の推奨を優先するのが安全だと考えました。計画は新道の往復を基本にし、旧道を使うかどうかは当日の清岳荘の情報を見て決めるのがよいでしょう。
渡渉はどれくらいありますか?
上二股までに数十か所あります。観光協会の案内では、沢を渡る地点が上二股まで続き、濡れた岩の上はとても滑ると注意しています。

渡渉するおおよその場所には、観光協会の印が押されたピンクテープが付けられています。ただし水量や土砂崩れで渡る地点は変わるため、テープを頼りにせず、自分で渡る場所を慎重に選ぶよう求めています。7月の水の多い時期の渡渉を写真で示したうえで、スパッツは必携とされています。急に増水することもあり、大雨の時や水が濁っている時に登るのは危険だと案内されています。
新道を往復する場合も、下二股までは沢沿いの道を通ります。下二股から先で尾根に上がるため、旧道より渡渉の数は少なくなりますが、沢の中を歩く区間がなくなるわけではありません。
往復で何時間かかりますか?
6時間から9時間ほどです。数字は案内によって示し方が違います。
| 出典 | 示されている時間 |
|---|---|
| 清里町 斜里岳ガイド | 上り約4時間・下り約3時間半 |
| きよさと観光協会(体力のある少人数) | 往復で早くて6時間ほど |
| きよさと観光協会(10名ほどのツアー) | 往復で平均9時間ほど |
観光協会は、渡渉のルートを探したり、先に渡る人を待ったりする時間が多いため、一般的なガイドブックの所要時間より長くかかると説明しています。帰路の新道は往路より長く、登り返しもあるため、下りだからといって大幅に時間を縮めることはできません。
あわせて読みたい
乗鞍岳へのアクセスは?畳平までバスで行く方法と料金午後から登り始めてもいいですか?
控えてください。観光協会は、体力に自信のある人が昼ごろに出発しても日没までに下山できず、毎年のように遭難騒ぎが起きていると注意を促しています。

斜里岳は沢登りが主体で斜面も急なため、他の百名山と同じ感覚で時間を見積もると足りなくなります。天気のよい日の早い時間に歩き始めることが、観光協会の挙げる再確認事項のひとつです。道内の山で長い行程を組む考え方は、利尻山の記事でも扱っています。
山頂の手前で気をつけることは?
風と寒さです。上二股を過ぎると沢が終わり、急な登りが続きます。その先の馬の背は少しガレた場所で、観光協会はコースで一番風の強いところとして突風に注意するよう呼びかけています。馬の背から山頂まではおよそ20分です。真夏でも山頂付近が5℃ほどになる日があると案内されているため、防寒着は季節を問わずザックに入れておきます。
清岳荘はいつ開いていますか?
6月下旬から9月下旬までです。清岳荘は登山口にある山小屋で、管理人が常駐し、風の具合や沢水の状況などの最新情報を黒板に掲示しています。宿泊しない人も立ち寄って参考にするよう案内されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 営業期間 | 6月下旬〜9月下旬 |
| 宿泊定員 | 50名 |
| 駐車場 | 乗用車45台程度 |
| 素泊まり(大人) | 2,220円(協力金・宿泊税を含む) |
| 車中泊 | 車1台520円 |
| 携帯トイレ | 販売700円・回収100円 |
施設内の水は飲み水には使えないため、登山中の飲み水は持参します。山中での用便は景観と環境に影響するとして、携帯トイレの使用が求められており、使用のためのブーステントが上二股に設置されています。
登山口までの林道はいつ通れますか?
ゲートが開いている期間だけです。清里町は、令和8年の斜里岳登山道入口ゲートの通行可能期間を、6月12日午前9時から10月30日午前10時までと案内しています。

清里町の案内では、清里町市街から道道江南清里停車場線を南へ約5km進み、南23号線を東へ折れて林道を約8km進むと山小屋に着くとされています。市街から清岳荘までは約15kmで、タクシーを使うと約5,000円と観光協会は案内しています。
清岳荘の営業が終わった後も、ゲートが閉まるまでの間は登山口まで車で入れます。ただし観光協会は、10月ごろから旧道の沢筋に凍結箇所が出てくると注意しており、秋の遅い時期は沢の岩がさらに滑りやすくなります。
ヒグマへの備えは?
複数で入山し、笛や鈴で存在を知らせます。観光協会は、北海道はほぼ全域がヒグマの出没地帯であるとして、早朝や夕方の行動をなるべく避けるよう求めています。

斜里岳で特に注意されているのが荷物のデポです。馬の背にザックを置いて山頂へ向かう人がいるものの、ヒグマを引き寄せる原因になるため絶対にやらないよう呼びかけています。清里町も、令和8年7月27日に頂上と斜里岳神社の中間付近で熊が目撃されたと知らせています。熊への備え全般は登山の熊対策の記事にまとめています。
よくある質問|斜里岳
斜里岳の標高は?
1,547mです。清里町は国土地理院の「日本の主な山岳標高」を出典として示しています。
どのコースで登ればいいですか?
きよさと観光協会は、清岳荘からの新道の往復を強く推奨しています。旧道を下ることは避けるよう求めています。
登山届は必要ですか?
観光協会は登山届を登山者の義務としています。届出のポストは清岳荘にあります。
携帯電話はつながりますか?
機種によって差がありますが、つながらない場所も多いと案内されています。
どんな靴で登ればいいですか?
観光協会は、防水仕様のハイカットの登山靴に登山用スパッツを組み合わせることを勧めています。
まとめ|斜里岳に登る前の3ステップ
斜里岳は、沢の中を歩く時間の長い山です。次の順で準備してください。
- コースを決める。観光協会の推奨に沿って新道の往復を基本にし、旧道を下りに使う計画は立てない
- 朝早く出発する。往復6時間から9時間を見込み、午後からの入山は避ける
- 沢に合わせた装備にする。防水のハイカット登山靴とスパッツをそろえ、携帯トイレを持って入山する
コースの特徴・所要時間・清岳荘の料金はきよさと観光協会、標高・林道のゲート期間・熊の目撃情報は清里町の案内に基づいています。沢の水量や登山道の状況は日によって変わるため、当日は清岳荘の黒板で最新の情報を確かめてから歩き始めてください。
画像出典
本文の写真はUnsplashで公開されているものです(撮影:Zion C、m c、Giorgos Giannatos、pen_ash、Alin Gavriliucの各氏)。斜里岳の実際の風景とは異なります。


コメント