蔵王の樹氷はいつ見られる?見頃と地蔵山頂駅までの料金

青空の下に並ぶ蔵王山頂付近の樹氷 季節特集

蔵王の樹氷は例年2月に最も大きく育ちます。蔵王ロープウェイによると、樹氷は11月から12月に覆われはじめ、1月が成長期、2月が最盛期、3月は気温が上がって細くなり倒れていく時期です。樹氷がいちばん多く見られるのはロープウェイ山頂線の終点、標高1,661mの地蔵山頂駅のまわりです。

この記事では蔵王ロープウェイの公式サイトと山形県・林野庁の資料をもとに、樹氷とは何か、いつ・どこで見られるか、地蔵山頂駅までの料金と時間を整理します。あわせて、ロープウェイが示している1〜2月の気温と風の強さから、山頂駅のまわりで感じる寒さの目安を計算しました。

青空の下に並ぶ蔵王山頂付近の樹氷

樹氷とは針葉樹が氷と雪に覆われたもの

蔵王ロープウェイの樹氷のページでは蔵王の樹氷は亜高山帯に生える針葉樹のアオモリトドマツが雪と氷に覆われてできたものだと説明しています。アオモリトドマツはオオシラビソとも呼ばれ、山形県の資料では蔵王連峰の標高1,300mから1,700mの亜高山帯に多く自生している木とされています。

ロープウェイの説明によると、樹氷は次の3つの現象が繰り返されてできます。

現象起きていること
着氷雪雲の中の雲粒(0℃以下でも凍らない過冷却水滴)が枝や葉にぶつかって凍りつき、「エビのシッポ」ができる
着雪エビのシッポのすき間にたくさんの雪片が取り込まれる
焼結取り込まれた氷と雪が固くなっていく

材料になる雲粒を運んでくるのは冬の季節風です。シベリアからの北西の季節風が日本海の対馬暖流から水蒸気をもらって雪雲になり、朝日連峰で雪を降らせたあと、山形盆地を通って蔵王連峰でもう一度上昇します。このとき雲の中の多くの雲粒が過冷却の状態になっていて、木にぶつかった瞬間に凍りつきます。

風と氷で形づくられた樹氷の近景

蔵王の樹氷が見られる時期

蔵王ロープウェイは樹氷ができるまでを4つの時期に分けています。

時期段階様子
11月〜12月初期アオモリトドマツが季節風で運ばれた雲粒による着氷と着雪で覆われはじめる
1月成長期風上に向かってエビのシッポが発達し、着雪もさかんになる
2月最盛期着氷と着雪が最もさかんで、大きな樹氷に育つ
3月衰退・倒壊期気温が上がって細くなり、雨などで一気に倒れる

大きな樹氷を見たいなら2月がいちばんです。1月は育っている途中ですが、樹氷の形はすでにでき上がっています。3月に入ると気温しだいで樹氷が崩れていくので、時期を選べるなら1月下旬から2月の間に計画すると見ごたえがあります。

樹氷が見られる場所と地蔵山頂駅までの料金

蔵王の樹氷は蔵王温泉からロープウェイを2本乗り継いだ先に広がっています。蔵王ロープウェイの料金・営業案内の数字をまとめると次のとおりです。

区間標高所要時間おとな片道おとな往復
山麓線(蔵王山麓駅〜樹氷高原駅)樹氷高原駅 1,331m7分1,200円2,200円
山頂線(樹氷高原駅〜地蔵山頂駅)地蔵山頂駅 1,661m10分――
地蔵山頂駅まで通し―17分2,200円4,400円

こども(小学生)はおとなの半額で、地蔵山頂駅までの往復は2,200円です。乗車券を払い戻すときは1枚につき100円の手数料がかかります。山頂線には「フニテル」と呼ばれる2本のロープでゴンドラを支える方式が使われていて、強風でも揺れが少ないのが特徴です。乗ったまま座って景色を眺められます。

霧の中の樹氷の上を通るロープウェイの索道

営業時間は山麓線が8時30分から17時、山頂線が8時45分から16時45分です(変更の場合あり)。地蔵山頂駅まで往復する場合の上りの最終は蔵王山麓駅を16時に出る便です。天候によって運転を休止することがあります。冬の間はペットを連れて乗ることはできません。

山頂駅で過ごせる時間の目安

営業時間と所要時間から、地蔵山頂駅で過ごせる時間を逆算してみます。山頂線の営業は16時45分までなので、帰りはこの時刻までに地蔵山頂駅を出る必要があります。

蔵王山麓駅を出る時刻地蔵山頂駅に着く時刻の目安山頂駅で過ごせる時間
13:0013:17ごろ約3時間20分
14:0014:17ごろ約2時間20分
15:0015:17ごろ約1時間20分
16:00(上りの最終)16:17ごろ約30分

着く時刻は山麓線7分と山頂線10分を足しただけの値で、樹氷高原駅での乗り換えや待ち時間は入っていません。上りの最終に乗ると山頂駅にいられるのは30分ほどです。樹氷の中を少し歩いたり写真を撮ったりするなら、遅くとも15時ごろには山麓駅を出る計画にしておくと慌てずに済みます。

山頂線の最大輸送人員は、夏の1時間あたり450人に対して冬は1,200人と案内されています。冬は樹氷を見に来る人とスキー客で利用が増える時期で、ロープウェイは多客時には臨時運転をするとしています。週末は乗り場で待つ時間も見込んでおくとよいでしょう。途中の樹氷高原駅は標高1,331mで、いろは沼や観松平が見どころとして案内されています。

地蔵山頂駅のまわりはどれくらい寒いか

蔵王ロープウェイによると、蔵王の1〜2月は快晴の日が少なく、風向きは北西から西で、平均風速は毎秒10〜15m、平均気温はマイナス10〜マイナス15℃の吹雪の世界です。樹氷はこの気象条件の中で育ちます。

風があると、肌で感じる寒さは気温よりも厳しくなります。北米の気象機関が使っている風冷え指数(体感温度の目安)の式にロープウェイが示している気温と風速を当てはめて計算しました。

気温風速 毎秒10m風速 毎秒15m
マイナス10℃マイナス20℃前後マイナス22℃前後
マイナス15℃マイナス27℃前後マイナス29℃前後

平均的な日でも体感ではマイナス20℃からマイナス29℃ほどになる計算です。ロープウェイも樹氷のライトアップは「マイナス10度以下になります」として防寒対策を万全にするよう呼びかけています。

この寒さの中では手袋・帽子・首まわりを覆うものが欠かせません。地蔵山頂駅の外に出るのは短い時間にとどめ、体が冷えたら駅舎に戻ると無理がありません。雪の上を歩く装備の考え方は雪山登山の記事にまとめています。

樹氷の森と尾根を越える雲

夜の樹氷ライトアップ

冬の夜には樹氷を色のついた照明で照らすライトアップが行われます。蔵王ロープウェイは漆黒の闇の中に浮かび上がる樹氷は日中の白銀に輝く姿とはまったく趣が異なると紹介しています。雪上車「ナイトクルーザー号」に乗って、間近で見るツアーもあります。

ロープウェイの冬のお知らせでは2025〜26年の冬の期間限定の開催は2026年2月22日に終了したと告知されています。2026〜27年の冬については10月4日付で「樹氷ライトアップのご案内」「樹氷幻想回廊ツアーのご案内」が掲載されました。ツアーの予約は利用日の7日前からで、JTBのホームページの現地観光プランから受け付け、電話では受け付けていないと書かれています。日程や料金は公式サイトで確認してください。

樹氷をつくる木が減っている

樹氷のもとになるオオシラビソはこの10年ほどで大きく減りました。林野庁東北森林管理局の報告によると、平成25年の秋ごろから地蔵山の山頂付近で、トウヒツヅリヒメハマキという蛾の幼虫とトドマツノキクイムシによる食害が広がり、多くのオオシラビソが枯れました。

山形県の資料では林野庁の調査として山形県側で約2万3千本(全本数の約2割弱)のオオシラビソが枯れていると紹介しています。特に被害の大きい山頂付近では自然の力だけでよみがえるのは難しい状況です。山形県は令和4年度に「樹氷復活県民会議」を立ち上げ、林野庁と連携して若い木の移植などを進めています。山頂付近の林がもとに戻るまでにはおおむね70年以上かかると考えられています。

雪の斜面の向こうに続く樹氷の列

山形森林管理署は被害の少ない標高1,300〜1,400m付近で採った自生の若い木を、被害の大きい山頂付近へ移植したり、種をまく試験をしたりしています。樹氷を見に行くときはこうした取り組みが続いている山だということも知っておくとよいでしょう。

樹氷のほかの季節の蔵王

蔵王ロープウェイは冬だけでなく、夏と秋も動いています。地蔵山頂駅は地蔵山・熊野岳・刈田岳への登山口でもあり、秋には紅葉を見に来る人も多い場所です。秋の見頃は蔵王ロープウェイの紅葉の記事に、蔵王連峰の山の成り立ちは蔵王山の記事にまとめています。

東北にはほかにも冬の強い季節風が吹きつける山があります。八甲田山の冬の天気とロープウェーの運休については八甲田山の天気の記事で扱っています。

蔵王のほかに八甲田・森吉山・西吾妻でも樹氷を見られます。4か所の乗り物と見られる時期、樹氷を見る場所の標高と寒さは樹氷の名所を比べた記事にまとめています。

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