富士山は夏の開山期しか登れないというイメージがある一方で、冬でも山頂まで登っている人の映像や写真を見かけることがあります。
▶ 富士山の全体像は「富士山登山【50代完全ガイド】|体力目安・電車アクセス・高山病対策」にまとめています。
夫婦で富士登山の計画を立てている際、閉山期に登ろうとする登山者がいることを知り、実際のところ冬季登山はどこまで危険なのか調べた経験があります。
この記事では、富士山の閉山期の位置づけと、なぜ冬季登山が危険とされているのか、50代が知っておきたいポイントを一次情報をもとに整理します。
富士山オフィシャルサイトや気象庁の情報を確認しながら、開山期と閉山期でどれほど条件が変わるのかを見ていきます。
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この記事の内容は動画でも解説しています
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この記事でわかること
- 富士山の閉山期がいつからいつまでか
- 冬季登山がなぜ危険とされているか
- 法律上どのような扱いになっているか
- 50代の体にとって特に危険な理由
- 冬でも楽しめる富士山周辺の代替プラン
富士山の閉山期とは
富士山の登山シーズンは例年7月上旬から9月上旬ごろまでとされ、それ以外の期間は閉山期と呼ばれています。
閉山期に入ると、五合目から山頂までの登山道にある山小屋や救護所はすべて営業を終了します。
トイレも使用できなくなり、道中で緊急時に助けを求められる施設が事実上ない状態になります。
富士山の山開きの具体的な日程については、別記事「富士山の山開きは2026年いつ?開山期間と新ルール」で詳しく紹介しています。
| 項目 | 開山期(夏) | 閉山期(冬含む) |
|---|---|---|
| 山小屋 | 営業中 | 全て休業 |
| 救護所・トイレ | 利用可能 | 利用不可 |
| 登山道の状態 | 整備済み | 積雪・凍結 |
| 法的な扱い | 通行可能 | 道路法により通行禁止 |
こうして並べてみると、閉山期は「登山道が使えない」だけでなく「何かあったときに頼れる場所がない」状態であることがわかります。

なぜ冬季登山は危険なのか
閉山期の富士山は、気温がマイナス20度近くまで下がることがあり、山頂付近では強風で体感温度がさらに下がります。
登山道は雪と氷に覆われ、夏山用の装備では対応できないアイゼンやピッケルといった雪山専用の技術と道具が必要になります。
風速40メートルを超える暴風が吹くこともあり、立っていることさえ困難な状況になる日も珍しくありません。
さらに、山小屋も救護所も営業していないため、万が一遭難やけがをしても、助けを呼ぶ手段や避難できる場所が確保できません。
携帯電話の電波が届きにくいエリアもあり、通信・救助のいずれの面でも夏山とはまったく異なる危険度になります。
雪面が硬く凍りついたアイスバーン状態になっていることも多く、滑落すると数百メートル滑り落ちてしまう事故も過去に発生しています。
こうした滑落事故は、経験豊富な登山者であっても防ぎきれない場合があり、閉山期の富士山が持つ危険度の高さを物語っています。
気象庁の観測データでも、山頂付近の冬季平均気温はマイナス18度前後とされ、真夏との気温差は30度以上に達します。
法律上も登山は禁止されている
富士山の五合目から山頂までの登山道は、道路法第46条の規定により、開山期間以外は通行禁止となっています。
この規制に違反した場合、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科される可能性があります。
この規制はあくまで「道路としての通行禁止」であり「山への立入禁止」ではないという解釈もありますが、実際には安全確保のために設けられた規制である以上、閉山期に登山道を使って山頂を目指すこと自体を避けるべきです。
登山届を提出すれば冬季でも例外的に立ち入りが認められる場合がありますが、これは雪山登山の高度な経験と装備を持つ登山者を前提とした運用であり、一般の登山者向けの制度ではありません。
過去には、閉山期の登山禁止をめぐって地元自治体と登山愛好者の間で意見が分かれたこともありました。
安全を重視する立場からは登山禁止の徹底を求める声がある一方、自己責任での登山を認めるべきだという意見も存在します。
いずれの立場であっても、閉山期の富士山が通常の登山とは次元の異なるリスクを伴うという事実は変わりません。
50代の体には特に危険な理由
冬季の富士山で問題になるのは、技術面だけではありません。
気温が著しく低い環境では、血管が収縮して血圧が上がりやすくなり、心臓や血管への負担が大きくなります。
50代になると、自覚のない高血圧や動脈硬化を抱えている方も少なくなく、極寒環境での運動は若い世代以上にリスクが高いとされています。
また、低酸素環境と低体温が同時に体にかかることで、判断力の低下や低体温症の進行が夏山よりも急速に進むことも指摘されています。
体力に自信がある方でも、冬季の富士山では体力以前に生命に関わるリスクがあることを理解しておく必要があります。
普段から高尾山のような整備された低山を歩いている程度の経験では、冬季の富士山が想定する体力・技術レベルには遠く及びません。
50代から登山を始めた方にとっては、まず開山期の富士山や周辺の低山で経験を積むことの方が、はるかに現実的なステップアップになります。
どうしても行きたい人の条件
雪山登山の経験が豊富な登山者の中には、冬季の富士山にガイドとともに登る方もいます。
その場合でも、アイゼン・ピッケル・冬山用のウェアといった専門装備一式に加えて、雪山での行動経験、天候悪化時に自力で引き返す判断力が前提になります。
単独での入山は避け、必ず経験豊富なガイドとともに、事前に登山計画書を提出したうえで臨むことが最低条件とされています。
これから登山を始めたばかりの50代の方が、経験を積まないままいきなり冬季の富士山に挑戦することは推奨できません。
装備も、夏山用のレインウェアや軽登山靴では対応できず、氷点下数十度に耐えられる冬山専用のダウンウェアや防寒手袋、耐寒性の高い登山靴一式が必要になります。
こうした専門装備は購入・レンタルともに費用がかかるうえ、使いこなすには事前の訓練も欠かせません。
装備をそろえるだけで満足せず、実際に雪山で使いこなせるかどうかを事前に確認しておくことが欠かせません。

代わりに楽しめる冬山という選択
富士山そのものに冬に登ることは難しくても、富士山を眺めながら楽しめる冬の過ごし方はたくさんあります。
例えば、五合目までのマイカーやバスでのアクセスが可能な時期であれば、雪化粧した富士山を間近で見ることができます。
また、周辺の低山や高原からは、澄んだ冬の空気の中でくっきりとした富士山の姿を望むことができ、これは夏には味わえない魅力です。
天候判断に不安がある方は、別記事「富士山が雨なら中止すべき?50代の天候判断と雨対策」で紹介している判断基準も参考にしながら、無理のない計画を立ててみてください。
富士登山そのものは、安全な開山期に体力と装備を整えたうえで挑戦するのが、50代にとって最も現実的な選択です。
冬の澄んだ空気の中で見る富士山は、夏山シーズンとはまた違った美しさがあり、無理に登らなくても十分に楽しめる魅力を持っています。
よくある質問|富士山の冬季登山
絶対に登ってはいけない?
道路法に基づく通行禁止であるうえ、山小屋も救護所も営業していないため、一般の登山者にとっては絶対に避けるべき期間です。雪山登山の高度な経験と装備がある場合を除き、登山は控えてください。
経験者なら安全に登れる?
雪山経験が豊富なガイドや登山者であっても、天候急変や滑落のリスクはゼロにはなりません。経験の有無にかかわらず、閉山期の富士登山には常に高いリスクが伴うことを理解しておく必要があります。
五合目までなら冬でも行ける?
富士山スカイラインなど一部区間が冬季通行止めになる場合がありますが、開通している時期であれば五合目周辺までは車で行けることがあります。ただし積雪や路面凍結の状況は年によって異なるため、事前に道路状況を確認してください。
紅葉シーズンの10月以降はどうなの?
9月上旬の閉山以降は山小屋やトイレの営業が終了するため、時期としては開山期と閉山期の間であっても、登山道の状況は閉山期に近いものになります。10月以降の富士登山も基本的にはおすすめできません。
まとめ:冬の富士山とどう向き合うか
- 富士山の閉山期はいつからいつまでかをカレンダーで確認する
- 閉山期の登山は法律上も禁止されており、雪山未経験なら選択肢に入れない
- 富士山を楽しみたいなら、麓や周辺から眺める冬の過ごし方を選ぶ
富士山は、正しい時期に正しい準備をして登るからこそ、安全に山頂からの景色を楽しめる山です。
冬の富士山は「登る対象」ではなく「眺める対象」として楽しみ、開山期にあらためて登山計画を立てることをおすすめします。
焦らず時期を選ぶことこそが、50代からの富士登山を安全に続けるための一番の近道です。


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