扇山は標高1,138m、中央本線の鳥沢駅から歩いて登れる山です。駅から登山口まで車を使う必要がなく、下山も駅に戻る周回で組めます。大月市が選ぶ秀麗富嶽十二景の六番山頂で、山頂からは富士山と、条件がよければ新宿方面の高層ビルまで見渡せます。
ただし「駅から歩ける低山」という言葉から受ける印象より、行程は長めです。大月市観光協会が公表する周回のコースタイムは約4時間30分。編集部が距離APIで測ると、駅から登山口手前までだけで2.6km・42分ありました。この記事では公式値と実測値を突き合わせて、当日の組み立て方を整理します。
この記事でわかること
- 扇山の標高と、鳥沢駅から山頂までの実測標高差
- 公式のコースタイムと、駅から登山口までの実測距離の差
- 区間ごとの所要時間の内訳(周回で約4時間30分)
- 百蔵山へ縦走する場合の追加時間と下山駅
- 熊への備えなど、この山で必要な装備
扇山の標高と鳥沢駅からの標高差
扇山の標高は1,138m(正確には1,137.8m)で、山梨百名山にも選ばれています。名前の由来は、山容が開いた扇に見えることです。出典は大月市観光協会の扇山ページです。
編集部がGoogle Elevation APIで測った値は、鳥沢駅が316m、扇山の山頂が1,117mでした。APIの標高は公称値より低めに出る性質がありますが、差の目安には使えます。駅から山頂までの標高差はおよそ820mです。
| 地点 | 標高 | 駅からの標高差 |
|---|---|---|
| 鳥沢駅 | 316m(実測) | — |
| 桂川ウェルネスパーク | 426m(実測) | 約110m |
| 扇山 山頂 | 1,138m(公称) | 約820m |
標高差820mという数字は、高尾山の稲荷山コース(約400m)の2倍です。「中央線沿線の低山」という括りで同列に考えると、後半で足が止まります。

山頂は広く、100人が休める
大月市観光協会は扇山の山頂について、広さがあり100人の滞在が可能と説明しています。狭い山頂で場所取りに気を使う必要がなく、腰を下ろして富士山を眺められます。展望は南に富士山、東に新宿方面が開けます。
公式30分の区間を実測すると42分
扇山で最初につまずきやすいのが、駅から登山口までのアプローチです。大月市観光協会のコース案内では、鳥沢駅から桂川ウェルネスパークまでを30分としています。
編集部がGoogle Routes APIで同じ区間を測ったところ、徒歩2,601m・約42分でした。公式の30分は速めのペースを前提にした数字と考えられます。標高差も約110mあり、舗装路とはいえ登り基調です。
| 区間 | 公式の目安 | 編集部の実測 |
|---|---|---|
| 鳥沢駅→桂川ウェルネスパーク | 30分 | 2,601m/約42分 |
この12分の差は、1日の行程では小さく見えて効いてきます。周回全体が4時間30分の想定なら、往路と復路で20分以上ずれる計算になるためです。

区間ごとの内訳を先に押さえる
大月市観光協会が公表する周回コースの内訳は次のとおりです。
- 鳥沢駅→桂川ウェルネスパーク:30分(実測42分)
- 桂川ウェルネスパーク→梨の木平:30分
- 梨の木平→扇山 山頂:1時間20分
- 山頂→エコの里:1時間10分
- エコの里→国道20号との接点:35分
- 国道20号との接点→鳥沢駅:15分
合計で約4時間30分です。登りは駅から山頂まで2時間20分、下りは2時間ちょうどという配分になります。
百蔵山へ縦走する場合の組み立て
扇山とセットで語られるのが、西隣の百蔵山です。標高は1,003mで、秀麗富嶽十二景の七番山頂にあたります。大月市観光協会も百蔵山のページで扇山との縦走が人気だと記しています。
編集部が測った百蔵山の山頂標高は999mで、公称1,003mとほぼ一致しました。扇山の山頂とは実測で約120mの差です。稜線伝いに歩けば、大きく下って登り返す区間があるものの、標高そのものの落差は小さく収まります。
| 山 | 標高 | 秀麗富嶽十二景 | 最寄り駅 |
|---|---|---|---|
| 扇山 | 1,138m | 六番山頂 | 鳥沢駅 |
| 百蔵山 | 1,003m | 七番山頂 | 猿橋駅 |

縦走すると入る駅と出る駅が変わる
扇山から百蔵山へ抜けると、下山口は猿橋駅側になります。鳥沢駅から入って猿橋駅へ出る形です。中央本線で隣り合う駅なので、電車で来ていれば車の回収を気にする必要がありません。これは車で登山口へ向かう人には作れない組み方です。
百蔵山だけを猿橋駅から往復する場合、大月市観光協会の目安は約5時間です。扇山の周回4時間30分より長いため、「百蔵山のほうが低いから楽」とは限りません。
縦走は6時間を超える前提で組む
扇山の登り2時間20分に、稜線の移動と百蔵山からの下り約2時間を足すと、行動時間は6時間を超えます。日の短い時期にこの縦走を入れるなら、下山時刻を先に決めてから逆算してください。
熊への備えと必要な装備
大月市観光協会は扇山のページで、熊の目撃情報があるため熊よけ鈴などの装備を必ず持つよう明記しています。観光協会が名指しで注意喚起する山は多くありません。
- 熊鈴:観光協会が明記している装備です。単独なら特に必須です
- 登山靴:標高差820mの下りが2時間続きます。靴底が柔らかいと足裏が疲れます
- 水:周回4時間30分で1人1L以上。山中に補給できる場所はありません
- ヘッドランプ:日の短い時期は下山が薄暮にかかります
- 地図アプリ:下山路のエコの里方面は分岐があります

低山でも行動時間は中級の山と変わらない
標高1,138mという数字だけを見て軽装で入ると、4時間30分の行動時間に装備が追いつきません。低山を歩くときの基本的な考え方は低山登山のガイド記事に、冬に登る場合の注意点は冬の低山の記事にまとめています。夫婦で登る場合、ペースは遅いほうに合わせてください。
同じ秀麗富嶽十二景で、より短い行程から試したい場合は高川山の記事が参考になります。中央本線沿線で電車から登れる山の全体像は関東の電車で行ける登山ガイドに整理しています。
季節ごとの登りやすさと富士山の見え方
扇山は通年で登れますが、目的が富士山の展望なら季節の差は小さくありません。空気が澄んで山頂から富士山が見える確率が上がるのは、11月から2月にかけてです。逆に夏は湿気で霞み、山頂に立っても輪郭がぼやける日が増えます。
| 時期 | 登りやすさ | 富士山の見え方 |
|---|---|---|
| 3〜5月 | 歩きやすい | 春霞で見えない日がある |
| 6〜8月 | 暑く、樹林帯で風が通らない | 湿気で霞みやすい |
| 9〜11月 | 最も歩きやすい | 11月から抜けが良くなる |
| 12〜2月 | 落ち葉と霜で滑りやすい | 最も良く見える |
冬は日没から逆算する
周回に4時間30分かかる以上、12月から1月に登るなら出発時刻が行程を決めます。日没が16時30分前後の時期は、駅を9時に出ても余裕は多くありません。ヘッドランプを持ったうえで、遅くとも8時台に鳥沢駅へ着く計画にしてください。
落ち葉の下の石に注意する
扇山の下山路は樹林帯が続き、晩秋から冬にかけて落ち葉が厚く積もります。落ち葉は路面の石や木の根を覆い隠すため、見た目より足元が不安定になります。標高差820mを2時間かけて下る区間でこれが続くので、靴底の硬い登山靴とストックが効きます。
よくある質問|扇山の登山
扇山は鳥沢駅から歩いて登れますか?
登れます。鳥沢駅から桂川ウェルネスパーク、梨の木平を経て山頂まで、公式の目安で2時間20分です。下山を含めた周回は約4時間30分になります。
扇山の標高は何メートルですか?
1,138m(正確には1,137.8m)です。山梨百名山であり、大月市の秀麗富嶽十二景では六番山頂に選ばれています。
扇山と百蔵山はどちらが登りやすいですか?
標高は扇山1,138m、百蔵山1,003mで扇山のほうが高いものの、大月市観光協会が示す所要時間は扇山の周回が約4時間30分、百蔵山の猿橋駅からの往復が約5時間です。時間で見れば扇山のほうが短く収まります。
扇山から百蔵山へ縦走できますか?
できます。鳥沢駅から入って猿橋駅へ下りる形になり、行動時間は6時間を超えます。電車なら乗り降りする駅が変わっても問題になりません。
扇山に熊は出ますか?
大月市観光協会が目撃情報を告知し、熊よけ鈴などの装備を必ず持つよう呼びかけています。鈴は持参してください。
まとめ|扇山を日帰りで登る3ステップ
扇山は駅から歩いて登れる数少ない1,000m峰です。数字を正しく見積もっておけば、車がなくても富士山の展望に届きます。
- 行程を把握する:周回で約4時間30分、標高差は駅から約820m
- アプローチに余裕を足す:駅から登山口手前までは公式30分に対し実測42分
- 装備を整える:熊鈴は観光協会が明記した必携品。水1L以上とヘッドランプも入れる
物足りなければ百蔵山まで足を延ばし、猿橋駅へ下りる縦走に切り替えられます。まずは扇山の周回だけで、駅から山頂までの820mを歩いてみてください。


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