この記事でわかること
- 鷲羽岳は標高2,924m、長野県と富山県にまたがる日本百名山
- 西斜面が黒部川の水源で、南側の中腹に火口湖の鷲羽池がある
- 新穂高温泉から双六岳経由で所要10時間30分
- 三俣山荘から山頂までは標高差約400mの登り
- 日帰りできる山ではなく、小屋を挟んだ複数日の行程になる
鷲羽岳は北アルプスの最も奥にある百名山のひとつです。名前を聞いたことがあっても、どこから登るのか、何日かかるのかが分かりにくい山でもあります。登山口からの距離が長く、日帰りという選択肢が存在しないためです。この記事では鷲羽岳の位置と行程を、黒部源流という地形の面から整理します。

標高2,924mの黒部源流の山
鷲羽岳は飛騨山脈にあり、長野県大町市と富山県富山市の境に位置します。標高は2,924mで、日本百名山に選ばれています。
この山を特徴づけるのは、西斜面が黒部川の水源になっている点です。となりの祖父岳とともに、日本を代表する渓谷の水を生み出しています。
黒部源流域と呼ばれるこの一帯は、北アルプスの中でも最も奥まった場所です。どの登山口からも距離があり、それが行程の長さに直結します。
南斜面に火口湖の鷲羽池
鷲羽岳の南側の中腹には、鷲羽池という火口湖があります。山頂から見下ろす位置にあり、青い水面が斜面のくぼみに収まっています。
この池の存在は、鷲羽岳が火山であることを示しています。北アルプスの多くの峰が隆起でできた山であるのに対し、鷲羽岳は火山活動の跡を残しています。
山頂に立つと、眼下の鷲羽池と、その向こうに槍ヶ岳が並ぶ構図になります。この眺めが、遠い行程を歩いてでも訪れる人が絶えない理由です。
新穂高温泉から10時間30分
一般的な登山口は岐阜県の新穂高温泉です。双六岳を経由して鷲羽岳へ向かう道のりは、所要10時間30分とされています。
この数字は1日で歩ける範囲を超えています。途中の双六小屋や三俣山荘に泊まり、2日以上をかけて到達する行程になります。
| 区間 | 目安 |
|---|---|
| 新穂高温泉から鷲羽岳まで | 所要10時間30分 |
| 三俣山荘から山頂まで | 標高差約400m |
| 行程の日数 | 最低でも2泊3日 |
途中の拠点になる双六小屋については双六小屋はどんな小屋?にまとめています。

三俣山荘が最も近い拠点
山頂に最も近い山小屋が三俣山荘です。ここから鷲羽岳の頂までは標高差約400mの登りになります。
400mという数字だけを見れば大きくありませんが、すでに標高2,500m前後の場所からの登りです。空気が薄く、平地と同じペースでは進みません。
三俣山荘に前泊すれば、朝の早い時間に山頂へ立てます。日の出前後の時間帯は空気が澄み、槍ヶ岳や水晶岳の稜線がはっきり見えます。
小屋から空身で往復できる点も、この配置の利点です。荷物を置いて登れば、標高差400mの負担が大きく変わります。
黒部源流をたどる周回
鷲羽岳を目的にする場合、往復ではなく周回で組む選択肢があります。三俣山荘から黒部川の源流部へ下り、祖父岳を経て戻る道筋です。
源流の標識が立つ地点まで下れば、黒部川がどこから始まっているかを目で確かめられます。地図の上で知っている川の起点に立つ経験は、この山域ならではです。
ただし下って登り返す分、行動時間は伸びます。鷲羽岳の往復に半日を足す前提で計画してください。
- 三俣山荘から黒部川源流へ下る
- 源流の標識で川の起点を確認できる
- 往復に半日を足す行程になる
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鷲羽岳の周囲には、同じく奥まった位置にある百名山が並びます。北に水晶岳、南に三俣蓮華岳と双六岳、西に黒部五郎岳という配置です。
ここまで来る労力を考えると、鷲羽岳だけを踏んで帰るのは効率がよくありません。複数の峰をつないで歩く行程が組まれるのは、このためです。
日数が延びる分、天候が崩れる確率も上がります。奥へ入るほど、途中で下山する選択肢が減る点は意識しておく必要があります。
槍ヶ岳を組み合わせる行程は槍ヶ岳は何日かかる?が参考になります。
小屋の予約が行程を決める
鷲羽岳へ向かう行程では、途中の小屋に泊まることが前提になります。双六小屋、三俣山荘、水晶小屋といった稜線上の小屋です。
これらはいずれも収容人数が限られ、予約制です。1つでも押さえられなければ、行程全体を組み直すことになります。
私も奥へ入る計画では、山の情報より先に小屋の空き状況を調べます。歩けるかどうかより、泊まれるかどうかで日程が決まるからです。
予約の押さえ方は山小屋予約を確実に取るコツにまとめています。
入山できる時期は限られる
稜線上の小屋は7月から10月中旬までの営業が中心です。この期間を外れると、鷲羽岳へ向かう行程は成立しません。
標高2,900m台の稜線は、10月に入れば雪が降ります。9月下旬には紅葉が始まり、そのまま冬へ移っていく速さです。
つまり実質的に歩ける期間は3か月半ほどです。天候が安定する日を選ぶとなると、さらに限られます。
- 稜線の小屋は7月から10月中旬が中心
- 9月下旬に紅葉、10月には降雪
- 実質的な行動期間は3か月半ほど
山名の由来は翼を広げた姿
鷲羽岳という名前は、山容が翼を広げた鷲に見えることに由来するとされています。山頂から左右へ延びる稜線が、翼のように張り出して見えるためです。
この姿がよく分かるのは、離れた位置から眺めたときです。双六岳や三俣蓮華岳の稜線を歩いていると、進行方向にこの山が正面から現れます。
近づくほど翼の形は見えなくなります。名前の由来を確かめたいなら、登っている最中ではなく、手前の峰から振り返る場面を狙うことになります。
水場と補給の考え方
黒部源流域は水の豊かな山域ですが、稜線上に水場があるわけではありません。水を得られるのは小屋か、源流部まで下った地点になります。
鷲羽岳の往復では、三俣山荘で水を確保してから出発する形が基本です。標高差400mの往復とはいえ、日差しの強い日は消耗が早くなります。
行動食も同じ考え方です。奥へ入るほど買い足せる場所がなくなるため、日数分を最初から担ぐことになります。この重量が、行程を長く感じさせる要因のひとつです。
- 稜線上に水場はなく、小屋か源流部で確保する
- 三俣山荘で水を入れてから山頂へ向かう
- 行動食は日数分を最初から担ぐ
天候が崩れたときの逃げ道
鷲羽岳の周辺では、悪天候になっても短時間で下山できる道がありません。最も近い登山口まで戻るだけで1日以上かかります。
このため、行程の途中で天候が崩れた場合は、小屋にとどまる判断が現実的になります。無理に動くより、1日待って安定を待つほうが安全です。
待てる日数を確保しておくことが、この山域での備えになります。予備日のない計画は、悪天候の中で動く選択を自分に強いることになります。
新穂高温泉以外の入り方
鷲羽岳へ向かう道は新穂高温泉からだけではありません。長野県側の折立から太郎平を経て入る道と、高瀬ダムから烏帽子岳を越えて縦走してくる道があります。
折立からのルートは、薬師岳や黒部五郎岳と組み合わせやすい配置です。北から南へ稜線をつなぎ、鷲羽岳を行程の中盤に置く形になります。
高瀬ダムから入る裏銀座と呼ばれる道は、烏帽子岳、野口五郎岳、水晶岳を経て鷲羽岳に至ります。歩く日数はさらに増えますが、北アルプス北部の稜線を通しで踏める行程です。
- 新穂高温泉:双六小屋を経由する最も一般的な道
- 折立:薬師岳や黒部五郎岳と組み合わせやすい
- 高瀬ダム:裏銀座をたどり、水晶岳を経て到達する
どの入口を選んでも、鷲羽岳が行程の奥に位置する点は変わりません。入る場所より、出る場所をどこにするかで日数が決まります。
よくある質問|鷲羽岳
鷲羽岳の標高は何メートルですか?
2,924mです。長野県大町市と富山県富山市の境に位置します。
鷲羽岳は日帰りできますか?
できません。新穂高温泉から所要10時間30分で、小屋を挟んだ複数日の行程になります。
鷲羽池とは何ですか?
鷲羽岳の南側の中腹にある火口湖です。山頂から見下ろす位置にあります。
三俣山荘から山頂までどれくらいですか?
標高差約400mの登りです。小屋に荷物を置いて空身で往復できます。
黒部川の源流はどこですか?
鷲羽岳と祖父岳の西斜面です。三俣山荘から源流部へ下る道があります。
登れる時期はいつですか?
稜線の小屋が営業する7月から10月中旬が中心です。9月下旬には紅葉が始まります。
まとめ|鷲羽岳を計画する手順
鷲羽岳は、行程の長さが最初の条件になる山です。
- 新穂高温泉から10時間30分という距離を前提に、2泊3日以上で組む
- 双六小屋・三俣山荘の予約を先に押さえる
- 三俣山荘から標高差400mを空身で往復する形にする
歩く力より、日程と予約を確保できるかどうかが鍵になります。


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