軽アイゼンとは?6本爪とチェーンスパイクの違いと選び方

凍りついた冬の木道 ギア

軽アイゼンとは登山靴の底に付ける爪の短い滑り止めのことです。本格的な雪山用の10本爪・12本爪のアイゼンより軽く、凍った低山の道や夏に残る雪渓を歩くときに使います。チェーンでつないだ「チェーンスパイク」もメーカーの分類では軽アイゼンの仲間に入っています。

▶ 低山の全体像は「低山登山とは?初心者に選ばれる魅力と山の選び方」にまとめています。

この記事ではモンベルの公式オンラインストアで「軽アイゼン」のカテゴリに並ぶ5つの製品の仕様を一つの表にまとめ、6本爪とチェーンスパイクの違いと選び方を整理しました。メーカーが製品ごとに「使える場面」と「使ってはいけない場面」を書き分けているので、その表現も比べています。

凍りついた冬の木道

軽アイゼン5製品の仕様の比較

2026年10月17日時点のモンベル公式オンラインストアの製品ページから、重さ・価格・サイズ・メーカーが書いている用途を書き出しました。重さはいずれも左右1組(ペア)で、収納袋を含まない本体の値です。

製品爪のつくり重さ(ペア)価格(税込)対応する靴メーカーの用途
イージースパイクゴムの本体に金属のピン120g2,420円幅9×長さ27.5cmの1サイズ旅行や日常の凍結した雪道用
コンパクトスノースパイク金属の爪(板厚2mm)210g2,200円21.5〜30.0cm(フリー)冬の低山や夏の雪渓歩行
チェーンスパイクチェーンでつないだスパイク242〜316g5,800円20.5〜31.0cm(4サイズ)冬の低山から夏の雪渓歩行
スノースパイク66本爪(板厚2mm)517g6,400円22.0〜31.0cm(3サイズ)雪山の軽登山や夏の雪渓歩行
スノースパイク 108本爪+前爪2本530〜550g8,800円S/M・M/Lの2サイズ森林限界以下の雪山や残雪期

チェーンスパイクの重さはSサイズ242g、Mサイズ263g、Lサイズ287g、XLサイズ316gです。スノースパイク 10はS/Mサイズが530g、M/Lサイズが550gです。

重さと価格の差

Mサイズ同士で比べると、6本爪のスノースパイク6(517g)はチェーンスパイク(263g)のおよそ2倍の重さです。価格の差は600円なので、値段よりも重さと使う場面で選ぶ製品といえます。最も軽いイージースパイクは120gで、チェーンスパイクMの半分以下です。

一方でスノースパイク6とスノースパイク 10の重さの差は十数gしかなく、価格は2,400円違います。爪の数が増えても重さはほとんど変わらないので、残雪期まで使うかどうかで選び分けることになります。

しまったときの大きさ

製品ページの収納サイズから、ザックの中で占める体積を計算しました。イージースパイクは平たい袋に入るため、面の大きさ(12×18cm)だけが書かれています。

製品収納サイズ体積の目安
チェーンスパイク9×9.5×6cm約0.5L
コンパクトスノースパイク7×24×6cm約1.0L
スノースパイク612×19×9cm約2.1L
スノースパイク 1011×22×9cm約2.2L

チェーンスパイクは6本爪のおよそ4分の1の大きさで、日帰り用の小さなザックでも雨具の横に収まります。6本爪と10本爪はどちらも2L余りで、500mlのペットボトル4本分ほどの場所をとります。「使うかどうかわからないけれど念のため持つ」なら、重さも大きさも小さいチェーンスパイクのほうが持ち歩きやすいといえます。

素材の違い

スノースパイク6・スノースパイク 10・コンパクトスノースパイクの本体はマンガン鋼で、メーカーは非常に硬く摩耗に強い素材と説明しています。チェーンスパイクのスパイクとチェーンはステンレス鋼で、製品ページでは「さびにくい」とされています。イージースパイクのピンはS45Cという炭素鋼です。どの素材でも使ったあとは泥と水気を落とし、乾かしてからしまうと長持ちします。

雪と泥の混じった冬の林の道

メーカーが書いている「使えない場面」

5つの製品ページにはそれぞれ注意書きがあります。並べると、メーカーがどこまでを軽アイゼンの守備範囲と考えているかがわかります。

  • イージースパイク:簡易滑り止めなので、雪山登山にはスノースパイクなどを使うように
  • チェーンスパイク:簡易アイゼンなので、本格的な雪山登山には使わないように
  • スノースパイク 10:雪山登山用の10本爪アイゼンとしては使えない。前爪は蹴り出し用で、氷の壁を登るためのものではない
  • コンパクトスノースパイク・チェーンスパイク:靴の形によっては対応サイズの中でも付けられない場合がある

イージースパイクは登山用ではなく、チェーンスパイクとスノースパイクは「雪山の入口」までの道具という位置づけです。森林限界より上の稜線や、急な雪の斜面を登る山では軽アイゼンではなく雪山用のアイゼンが必要になります。雪山用の装備の全体は雪山登山の基本の記事で扱っています。

6本爪とチェーンスパイクの違い

つくりと付け方

6本爪のスノースパイク6は厚さ2mmのマンガン鋼の板に爪が付いていて、エラストマーのバンドで靴に留めます。付属の六角レンチで足の幅に合わせて調整します。チェーンスパイクはステンレス鋼のスパイクをチェーンでつないだもので、メーカーは「靴の上から靴下を履くような感覚」で付けられると説明しています。

チェーンスパイクは爪が靴底全体に散らばっていて、靴の曲がりに合わせて動きます。6本爪は爪が土踏まずの前後に集まっていて、爪が長い分だけ雪に深く刺さります。凍った道を長く歩くならチェーンスパイク、雪が積もった斜面を登り下りするなら6本爪が向いていると考えられます(推測)。チェーンスパイクについてはチェーンスパイクの選び方の記事で詳しく扱っています。

付けるときの注意

チェーンスパイクの製品ページには爪(三角の突起)が外側を向くように付けること、裏返しに付けると滑り止めとして効かないことが書かれています。暗い中や手袋をした手では向きを間違えやすいので、家で一度付けて外す練習をしておくと山で慌てません。

雪の積もった森の中の道

冬の低山で軽アイゼンが要る場面

関東の低山でも冬の朝は道が凍ります。高尾山の気温の記事で気象庁アメダス八王子の平年値から計算したところ、高尾山の山頂は12月から3月まで朝の最低気温が氷点下で、1月の朝はマイナス4.7℃前後でした。

  • 日の当たらない北側の斜面や、谷沿いの道
  • 昼に解けた雪や霜柱が夕方から朝にかけて再び凍った道
  • 木道や石段など、平らで硬い面が凍った場所
  • 雪が降った数日後の、踏み固められた登山道

どれも冬の低山で起こりやすい場面です。こうした場所が続くならチェーンスパイク、雪が残る1,000mを超える山を歩くなら6本爪というように歩く山と季節で選びます。丹沢の大山の冬の装備は大山の服装と持ち物の記事にもまとめています。

日差しの入る雪の森の道

軽アイゼンの選び方

靴に合うか

まず手持ちの登山靴のサイズが対応範囲に入るかを見ます。スノースパイク6はSが22.0〜25.0cm、Mが25.0〜28.0cm、Lが28.0〜31.0cmです。チェーンスパイクはSが20.5〜23.5cm、Mが23.0〜26.0cm、Lが25.5〜28.5cm、XLが28.0〜31.0cmで、境目のサイズは2つにまたがります。靴の形によっては範囲内でも付かないことがあるので、店で自分の靴に付けてみるのが確実です。

どこまで使うか

冬の低山の凍った道だけならチェーンスパイクかコンパクトスノースパイク、雪の積もった山や夏の雪渓も歩くならスノースパイク6、残雪期の森林限界より下まで使うならスノースパイク 10が候補になります。

持ち運び

どの製品も収納袋が付いています。スノースパイク6の袋は塩化ビニールで覆った生地で、ザックの中のほかの荷物を傷つけたり濡らしたりしないつくりです。外したあとの軽アイゼンは雪や泥で濡れているので、袋に入れてからザックにしまいます。

通販で探すときはスノースパイク6(Amazonで検索)、チェーンスパイク(Amazonで検索)、軽アイゼン 6本爪(Amazonで検索)などで探せます。冬の服装全体は冬の登山の服装の記事を見てください。

軽アイゼンはどんな靴に付けられるか

製品ページの説明を見ると、靴を選ばない度合いは製品によって違います。イージースパイクは「ほとんどの靴に対応する」サイズ設定で、低い温度でもよく伸びる素材のバンドを靴に掛けるだけで付けられます。コンパクトスノースパイクは子どもの靴から大人の靴まで1つのサイズで対応するとしています。

チェーンスパイクはスキーブーツなど靴の形によっては対応サイズの中でも付けられない場合があると書かれています。6本爪のスノースパイク6は足の幅に合わせてレンチで調整する分、登山靴にしっかり合わせて使う道具です。底の柔らかい運動靴では靴が曲がって爪が浮きやすいので、軽アイゼンを付けるなら靴底の硬い登山靴と組み合わせるのが前提と考えてください(推測)。

雪の斜面を登る登山者

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